2018年4月12日木曜日

エアバス333の後継機!SIAがB78Xへ世代交代

シンガポール航空(SQ=SIA、SGX上場)は、2000年代に導入したB772ERと2009年以降に納機されたエアバス333の後継機として発注していたボーイング787-10(B78X)を5月から定期便に投入します。エアバス333の時と違って、第1弾からいきなり日本線で運航が始まる予定になっています。

SIAは過去、Scoot(TR=TGW)が使用するB787ファミリーをScootに代わって発注した経験がありますが、自社で使用する機材として787の納機を受けるのは今回が初めてです。

現在、SIA自社向けとして78Xを49機、Scoot用は788と789各10機ずつの合計20機を発注し、このうちScoot向けの計15機が既に納機されています。今回、SIA自社向け機材の納入が始まることで、B772ERは一掃に向けた最後の追い込みに入り、最も古い機体が機齢10年に迫っているエアバス333も代替が本格化することになります。

SIA自社向け機材は、A333よりもエコノミークラスが45席増え、ビジネスクラスは従来とほぼ同じ座席数で余裕を持った造作とする一方、先に納入されたエアバス359と違ってプレミアムエコノミーを設けません。この結果トータルの座席数は改修前のB772よりも多くなり、アジア域内での大量輸送の需要に応えます。

SIAは新機材を導入する場合、チャンギ~KLIA・ジャカルタ・バンコク(スワンナプーム)などの短距離路線で1カ月程度の試験運航をした後、本来の対象路線へ投入されるのが常。今回は4月中にKLIA・スワンナプーム線でテストを行い、5月から今年が旧マレーシアシンガポール航空(ML=MSA)以来の就航50周年となる日本への路線に本格投入されます。

《4月3日から30日まで有効》
SQ118 SIN1845~KUL1945 DAILY
SQ119 KUL2040~SIN2150 DAILY

SQ970 SIN0710~BKK0835 DAILY
SQ973 BKK0940~SIN1305 DAILY

《5月3日から有効》
SQ618 SIN0125~KIX0905 DAILY
SQ619 KIX1055~SIN1640 DAILY

《5月16日から有効》
SQ622 SIN1355~KIX2135 DAILY
SQ623 KIX2325~SIN0505+1 DAILY

《チャンギ発5月18日、成田発5月19日から有効》
SQ638 SIN2355~NRT0800+1 DAILY
SQ639 NRT1110~SIN1720 DAILY

(機材はB78X SIAビジネス=ビジネスクラス36席、エコノミークラス301席)

2018年4月11日水曜日

海外でも着信できる050番号を無料で取る!

日本の携帯電話で国際ローミングを行うと、無料が当たり前の着信にも料金がかかってしまい大きな負担になってしまいます。これを回避するために、電話番号の頭が「050」で始まるIP電話のシステムを利用したSkype(マイクロソフト)の電話網接続サービスを使っている方も多いはずです。それら通話アプリよりも高い品質で、音声通話の転送に特化したサービスがあります。

楽天コミュニケーションズ(旧フュージョンコミュニケーションズ、東京都世田谷区)のFUSION IP-Phone Smartがそれです。旧フュージョン時代から手掛けている法人向けIP電話のシステムを応用。法人向けでは固定電話機に事実上限られている端末を、スマートフォンでも使えるようにしたシステムです。これなら、本来は固定電話用の050電話番号を、WiFiや携帯電話網(モバイルネットワーク)といったインターネットの電波が飛んでいるところなら世界中どこでも使うことができます。

お手持ちのiPhoneまたはAndroidスマホに専用アプリ『SmarTalk(スマートーク)』をインストールしてから、Webサイトで登録を行います。その際、基本的にはクレジットカードを登録する必要があります。もしクレジットカードが用意できない場合でも、楽天銀行デビットカード(JCB・VISA)またはSURUGA VISA デビットカード(スルガ銀行=静岡県沼津市、東証1部上場)が利用できます。

注目の料金は、日本の従来型電話網であれば固定・携帯関係なく、一律30秒ごとに8円。電話網から発信すると30秒ごとに20円(1分間で40円)の料金体系が主流になっている格安SIM(nifmo、0SIMなど)をお使いの方がIP-Phone Smartを導入すると、最大で60%も安くなる可能性があります。

ちなみにIP-Phone Smartおよび法人向けIP電話の番号同士であれば通話料は無料なので、同一組織内の複数の方が一度に導入して、SkypeやLINEと同様に音声通話することもできます。海外出張の際に、現地のSIMが用意できなくてもWiFiの電波があれば着信できるので、SIMを買う前にはぐれた時の呼び出しなどといった使い道があります。

IP-Phone Smart発の国際電話は、世界主要32カ国へ一律30秒ごとに8円。かけることができる相手国には、ASEAN域内ではタイ、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンが含まれます。カンボジア、ラオス、ミャンマーへは固定・携帯に関係なく発信できませんので、これら3カ国への通信が必要であれば、LINE(東京都新宿区、東証1部上場)が提供している『LINE Out』を利用するのが最も安くなります。

逆に日本の固定電話網からIP-Phone Smartへは、全国一律で3分ごとに10.5円。ほぼ市内通話並みの料金でお得です。IP-Phone Smart利用者が海外にいる場合でも国内通話扱いでかけられるので、現地の携帯電話に国際電話するのと比べて圧倒的に安く、頻雑なボタン操作も不要になります。日本在住のお客様などからの連絡先をIP-Phone Smartの番号にすれば、海外出張中でもノンストップで対応できます。

董事長ふくちゃんもIP-Phone Smart番号を持っていますので、今後名刺に記載してまいります。受け取られた皆様、取材依頼や情報提供、弊誌Traveler's Supportasiaへの支援などいつでもご連絡を頂ければ幸いです。

2018年4月7日土曜日

「ネオパン」販売終了で写真の一時代が終わる

富士フイルムホールディングス(東京都港区、東証1部上場)と写真用品部門の事業子会社、富士フイルムイメージングシステムズ(東京都港区)は、フィルムカメラ用白黒(モノクロ)フィルム『NEOPAN ACROS(ネオパンアクロス)』を今年10月出荷分限りで全種類廃番にすると発表しました。純正印画紙・現像液も2020年3月までに全種類廃番とし、富士フイルムは白黒フィルム事業を終息。今後は、競合他社が細々と生産を続ける形となります。

日本の写真用ロールフィルムの歴史は、コニカミノルタ(東京都千代田区、東証1部上場)の前身会社小西六本店』が1929年(昭和4年)に発売した『さくらフヰルム』から始まります。富士フイルムは、その5年後の1934年(昭和9年)にダイセル(大阪市北区、東証1部上場)から分かれて設立されるのと同時にフィルムの生産を始め、1937年(昭和12年)、『富士ネオパンクロマティックフィルム』の名前で初めての写真用ネガロールフィルムを発売しました。

戦後は、ネオパンクロマティックを略した『ネオパン』のブランド名が定着。1952年(昭和27年)には、ISO100の標準品として長く親しまれる『ネオパンSS』が発売されます。写真用品に輸入規制が存在しカラーネガフィルムもまだ黎明期だった1960年代には、2018年現在と比べて100倍以上もの本数が出荷されていたといいます。その後、『フジカラーN』などカラーフィルムの普及が進んだことで80年代には町の写真店から白黒フィルムは姿を消し、ヨドバシカメラ(東京都新宿区)など量販店を中心に売られるプロ用商品へと変化していきました。それでも、報道写真・天体写真など白黒が強みを発揮する分野や、卒業アルバムなど白黒に存在価値のある写真制作、あるいは表現手法の一つとして白黒にこだわる写真家といった需要が根強く、2000年(平成12年)にはネオパンSSの後継品として、現行のACROSが投入されていました。

しかし、2000年代以降はデジタルカメラ、スマートフォンの多くの機種に白黒撮影モードが搭載されるようになりました。これによって古くからの愛好家も、そうでない一般消費者も簡単にモノクロ写真を撮れるようになり、逆に「モノクロしか撮れない」フィルムの需要は激減。フィルムを装填できるカメラの製造も急速に縮小して、尚更に売り上げが落ち込んでいきます。

共同通信は、「会社側の説明として年率15~20%のペースで需要が細っていた」と報じ、グローバル展開する大手メーカーによる商業採算ベースでの販売継続は最早限界だと判断した模様。また時事通信の報道によると、既に3月いっぱいで白黒フィルムの製造ラインは止まっていて、現在工場にある在庫が全て出荷されるのが10月頃の予定だといいます。

今後は、サイバーグラフィックス(旧オリエンタル写真工業、東京都千代田区)の『ORIENTALニューシーガル』が国産唯一の白黒ネガフィルムとして販売継続される他、コダック(アメリカ・ロチェスター)の『TX400(旧名トライXパン)』『T-MAX』も日本への供給が続けられます。

2018年3月31日土曜日

LCCの荷物リスクを僅かな料金で回避する

格安航空会社(LCC)では、乗客を荷物を預けるのに料金がかかるのが当たり前。それも、預けるタイミングが搭乗直前になればなるほど高くなっていくのが常識です。空港でチェックイン時に重量オーバーともなると、1KgあたりUS$20などと言われて大きな出費を強いられ、交渉過程で締め切り時間に間に合わず搭乗できなくなったりすると、本格航空会社(FSC)の便で買い直しという事態にもなりかねません。

エアアジア・ジャパン(DJ=WAJ、愛知県常滑市)などAirAsiaグループの場合、機内持ち込み手荷物はトランクに入る大きさのトロリーバッグと、ノートパソコンや周辺機器などを収めたバッグの2個まで認められますが、以前はトロリーバッグだけで7Kgまでと、パソコンは別枠で認められていたのが、2016年4月頃からパソコン用バッグも合わせた総重量で7Kg以内と厳しくなりました。預け手荷物枠を購入済みでも、機内持ち込み手荷物を預けに回して、重量が増えると超過手荷物料金が発生することも予想されるので、気を付けないといけません。

これを回避するには、事前に機内持ち込み手荷物枠を25Kg分買うのが最も効率的です。例えばタイエアアジアX(XJ=TAX)の成田~バンコク(ドンムアン)線では、20Kgの預け手荷物枠を予約時に購入すると片道4,400円ですが、25Kgを注文すると5,500円。わずか1,100円の追加出費で当日荷物預け時の無用なトラブルを回避できます。万が一追加せずに、空港で超過手荷物料金だと言われると、1Kgにつき2,200円。3Kgの超過なら6,600円も取られる計算なので、荷物の量が多くなりそうな方は、必ず5Kg分の追加手荷物枠を購入することをお勧めします。

同じく成田~ドンムアン線に就航しているScoot(TR=TGW)の場合は、トロリーバッグ10Kgと別にパソコン用バッグの持ち込みが認められています。このため、荷物の量が多い方はAirAsiaXを避け、最初からScoot一本に絞るという手もあります。

2018年3月27日火曜日

JR「夕張線」来年3月で廃止!「石勝線」は存続

JR北海道(札幌市中央区)は、明治中期から120年以上に渡って続いてきた石勝線の新夕張~夕張間(北海道夕張市、16.1Km)を廃止することで地元と合意し、26日、廃止届を国土交通省鉄道局(東京都千代田区)に提出しました。

別名「夕張支線」ともいわれるこの区間は、1892年(明治25年)、夕張炭田での採炭に乗り出した北海道炭鉱汽船(北炭:東京都中央区)の前身会社「北海道炭鉱鉄道」によって整備されたものです。旧官営として先行した幌内炭鉱(北海道三笠市)と本州への積み出し港の室蘭(北海道室蘭市)を結ぶ目的で作られた室蘭線から、追分駅(北海道安平町)で分かれ、北炭夕張炭鉱と室蘭港、さらには石炭の地元消費のために北炭と同じ三井財閥源流の輪西製鋼所(現在の新日鐵住金室蘭製鉄所)を結ぶ貨物中心の鉄道として、石炭の街の発展を支えました。

しかし、北海道の中心都市札幌への輸送には北炭が大正末期に独自に建設した『夕張鉄道』(野幌~夕張本町間53.6Km)が主力となり、旧国鉄は昭和30年代の夕張炭鉱全盛期になってようやく準急(後の急行)列車の運転を始めたものの、当時は追分~南千歳(北海道千歳市)間に線路がなく、追分駅と岩見沢駅(北海道岩見沢市)の2回、列車の向きを変える必要があるという有様で、10年ほどで廃止。夕張鉄道も、北炭夕張炭鉱の採炭縮小によって1971年(昭和46年)に旅客営業廃止となってバスに転換されます。

1981年(昭和56年)、根室線に代わる札幌と道東を結ぶ短絡ルートとなる『狩勝線』が開業すると、夕張線は狩勝線と統合して現在の石勝線となり、狩勝線への連絡地点とされた紅葉山駅(北海道夕張市)は駅名を「新夕張」と改めました。同時に追分と南千歳の間にも新線ができ、特急『おおぞら号』による札幌と夕張の都市間輸送が実現しましたが時既に遅し。開業のわずか13日後に北炭夕張新鉱事故が起こり、夕張炭田の競争力は決定的に失われます。1987年(昭和62年)には北炭最後の夕張地区拠点となった真谷地炭鉱が閉山し、1990年(平成2年)の三菱南大夕張鉱閉山で、夕張の石炭産業は事実上壊滅。夕張市の人口も2013年(平成25年)に1万人を割り込んで、財政再建団体に転落。新夕張駅から分かれる形になった夕張支線の乗客数は、年々減っていきました。

狩勝線部分を含む石勝線全体としての採算は、JR北海道が2016年(平成28年)11月に発表した当社単独では維持することが困難な線区についてという資料で、「単独で維持可能」とはされたものの、夕張支線部分だけを抜き出して考えると、1日平均の輸送密度が80人と、国鉄再建法(1980=昭和55年法律111号)による『第1次特定地方交通線』(営業キロ50Km以下かつ輸送密度500人以下)の水準を大きく下回る状況。加えてさすがに旧北炭鉄道時代のものはないものの完成後100年以上を経ている設備の更新などに数十億円単位の資金が必要。なおかつ夕張市の人口減少によって今後、鉄道の利用が急回復することは望めないなどの理由を総合して、鈴木直道市長自ら、夕張支線のバス転換をJR北海道に「逆提案」してきました。

夕張支線の列車の運行は2019年(平成31年)3月31日限りとなり、翌4月1日からは現在も北炭グループの会社として健在の夕張鉄道(夕鉄バス:北海道夕張市)が代替バスを運行します。夕鉄バスでは、夕張支線に並行して札幌線(新さっぽろ駅~新夕張駅)1日3往復と夕張市内線(社光~夕張高校正門)1日7本が運転されていますが、鉄道廃止後は新夕張駅と社光の間に1日10本程度を運転し、特急『スーパーおおぞら』『スーパーとかち』や、新夕張打ち切りとなる追分・南千歳方面行き普通列車への接続を確保します。途中の南清水沢駅にはJR北海道と札幌発祥の家具販売大手ニトリホールディングス(東京都北区、東証1部上場)の支援でコミュニティバスに接続するバスターミナルが設けられます。

2018年3月23日金曜日

「第4版人民元」回収へ

中国人民銀行(日本の日銀に相当する中央銀行、北京市)は、1980年代から90年代にかけて発行された「第四套(第4版)」人民元紙幣の流通を終了させ、順次回収すると発表しました。

第四套人民幣は、それまで20年以上更新されなかった第三套人民幣に代わる世代の紙幣として、1980年から流通がスタート。同時に導入された外国人旅行者向けの『外貨兌換券』と共に広く使われました。10年後の1990年には、高額の50元と100元紙幣が改訂。兌換元が廃止された1995年以降は在中国の外国人も使うようになり、1999年の第五套発行まで、主力の地位にありました。

第五套発行後も、第四套紙幣を引き続き流通させ、商業銀行に戻ってきた紙幣から順次回収してきましたが、第五套の発行開始から既に19年が経っており、今後ニセ札などの危険が増すことや、『支付宝(日本名Alipay)』『微信支付(Wechat Pay)』といった電子決済の普及によって現金の需要が急減していることなどにより今回、市場での流通を終了させることにしたものです。

今回、流通が終了するのは紙幣の裏面に「1980」の数字がある2角(0.2元)、1元、2元、5元、10元、50元、100元札と、「1990」の数字がある50元・100元紙幣、および1角(0.1元)硬貨です。この他に1角(0.1元)と5角(0.5元)紙幣および5角、1元の硬貨がありますが、この4種類は引き続き流通します。

お手持ちの第四套人民幣は、4月30日までは市場で普通に使えます。5月1日からは中国人民銀行または中国銀行(BOC)、中国工商銀行(ICBC)など商業銀行の支店窓口で第五套紙幣に等価交換できます。2019年5月以降は、人民銀行支店または人民銀行が指定する一部の商業銀行の窓口で交換を受け付けてくれる予定です。

2018年3月17日土曜日

Peachとバニラエアが統合へ (3)バニラエアが消滅の道に

ANAホールディングス(東京都港区、東証1部上場)は、格安航空(LCC)部門の事業会社であるPeach Aviation(MM=APJ、大阪府田尻町)とバニラエア(JW=VNL、千葉県成田市)を統合させる方針を固めました。東京で発行されている『週刊ダイヤモンド』が16日に報じ、その後に大手マスメディア各社が追随報道をしたものです。


(前記事「Peachとバニラエアが統合へ!独自路線のPeachがなぜ今統合?」の続きです)

両社を統合するにあたっては、外部株主のいるPeachよりも、完全子会社のバニラエアを消滅させる方が当然と言えば当然の道とANAHDも判断しているようです。週刊ダイヤモンドは2019年(平成31年)3月の夏ダイヤ以降、1年程度をかけてバニラエアの事業を段階的にPeachへ譲渡する方向だと伝えています。

その前段階として、現在バニラエアとPeachの両社が運航している成田~関空線からバニラが撤退します。それと引き換えに、7月には成田と那覇からの石垣(沖縄県石垣市)線を開設。統合後は、既にあるPeachの関空~石垣線と組み合わせた機材運用が期待されます。那覇~石垣線は過去にPeachが運航した経験があり、Peachの求める「毎日複数便を満たした上での再開」という条件にも適います。

《7月1日から有効》
JW811 NRT1000~ISG1340 DAILY
JW812 ISG1440~NRT1740 DAILY

JW881 OKA1005~ISG1110 DAILY
JW887 OKA1755~ISG1900 DAILY
JW882 ISG1150~OKA1250 DAILY
JW888 ISG1940~OKA2040 DAILY

(機材はエアバス320ceo 普通席=エコノミークラスのみ180席)

バニラエアが運航する成田~香港線と、Peachの関空~香港線も統合により効率化を期待されている路線です。特にPeachは、外部株主のファーストイースタンインベストメントグループ(FEG)が香港に本拠を置いている関係で香港線をやらざるを得ない状況ですが、バニラエアの成田線と組み合わせて運航することで採算を改善し、FEGの理解を得たい意向です。

バニラの成田~新千歳線も、Peachが以前運航した経験がありますが、「1日1往復では弱い」として撤退した路線(前記事「Peachが成田で「西からの刺客」になる」参照)。もしPeachに引き渡されれば、Peachは1日8往復を一挙に手にできます。

成田空港では、バニラエアが第3ターミナル、Peachは第1ターミナルの国内線部分を使用していますが、必然的にPeachが第3ターミナルへ移動することになるとみられます。

Peachとバニラエアが統合へ (2)独自路線のPeachがなぜ今統合?

ANAホールディングス(東京都港区、東証1部上場)は、格安航空(LCC)部門の事業会社であるPeach Aviation(MM=APJ、大阪府田尻町)とバニラエア(JW=VNL、千葉県成田市)を統合させる方針を固めました。東京で発行されている『週刊ダイヤモンド』が16日に報じ、その後に大手マスメディア各社が追随報道をしたものです。


(前記事「Peachとバニラエアが統合へ!両社のスタイルの違い」の続きです)

同じく東京で編集されている業界専門サイト『Aviation Wire』は、PeachがANAHDの連結入りした直後、2017年6月に行われた株主総会で片野坂真哉ANAHD社長が

「グループの成長加速のためにPeach株を買い増した。2社を活用して幅広いサービスを提供する」

と述べ、井上Peach CEOも

「自社の独自性に磨きをかける」

として、バニラエアが加盟したバリューアライアンスのような他社との連携はしないと断言したと報じました。なのになぜ、ANAHDはPeachとバニラエアの統合に舵を切ったのでしょうか。

日本経済新聞は

「Peachとバニラエアの売上高を単純合計しても1,000億円に届かず、AirAsiaグループやジェットスターグループといった巨大LCCとの規模の差が大きい」(17日付朝刊1面および電子版)

と書いています。ただ、AirAsiaやジェットスターといった主に東南アジアで成功したLCCと、チェジュ航空(7C=JJA 韓国済州市、韓国証取上場)やジンエアーといった韓国系、それに日系LCCではそれぞれ置かれた環境が異なり、ましてやAirAsiaとジェットスターはアジアだけでも複数の国に事業会社があるので、決算書上の売上高だけではそれぞれの成功体験を一概に説明することができません。

ANAHDにとっての、今回の統合の最大の狙いは、両社の機材と乗員の一本化による事業規模の拡大にあるとみられます。バニラエア・Peach共に単一機材としてエアバス320ceoを使っており、統合すれば機材を効率的に運用でき、ユニットコスト(1座席1km単位の輸送コスト)の更なる削減につながると踏んだのです。

加えて、Peach側から見れば首都圏という「見捨てられない大きなマーケット」の拠点である成田空港を、自由に使えるようになるメリットがあります。週刊ダイヤモンドは、

「バニラの運航に関わる400人ものスタッフがもったいない。彼ら、彼女たちに活躍の場を与えて、Peachの成長に貢献してもらえないか」

というPeach幹部の想いを伝えています。一方、Aviation Wireは

「毎日複数便をやれるなら成田路線のポテンシャルが生きる」

という別の幹部の声に触れ、Peachが将来、成田空港で国内線中心に路線を拡大するのであれば、一つの路線に複数便を効率よく運航できるだけの体制を作る必要があると報じました。つまり、Peachにとってみれば、バニラのスタッフは喉から手が出るくらい欲しかった存在であり、バニラとの統合は、経験を持った優秀な人材を一挙に獲得できる千載一遇のビジネスチャンスだった訳です。

Peachとバニラエアが統合へ!(1)両社のスタイルの違い

ANAホールディングス(東京都港区、東証1部上場)は、格安航空(LCC)部門の事業会社であるPeach Aviation(MM=APJ、大阪府田尻町)とバニラエア(JW=VNL、千葉県成田市)を統合させる方針を固めました。東京で発行されている経済専門雑誌『週刊ダイヤモンド』が16日に報じ、その後に大手マスメディア各社が追随報道をしたものです。

ANAHDの下には、本格航空(FSC=フルサービスキャリア)部門を担当する中核事業会社の全日本空輸(NH=ANA、東京都港区)と、LCC部門のPeach、バニラエアがあります。このうち、Peachは元々、ANA出身の井上真一CEO(最高経営責任者、他社の社長に相当)がANAの社内ベンチャーから始めて、香港の投資ファンド『ファーストイースタンインベストメント』を資金パートナーに迎える形で立ち上げられた会社。一方、バニラエアはANAHDとAirAsia(AK=AXM クアラルンプール、マレーシア証取上場)の合弁で作られた初代エアアジア・ジャパン(JW=WAJ)が前身で、会社に求める考え方の違いからAirAsiaが資本を引き上げたために、ANAHDの100%出資となってブランド名を変更、ここまでやってきました(前記事「エアアジア・ジャパン改めバニラエア』12月就航」参照)

PeachはLCCの本分ともいえる攻撃的な運賃設定で、本拠地関西空港をはじめとする拠点空港の国際的な価値の向上に寄与しようとしたのに対し、バニラエアは『レジャー・リゾート路線に特化したLCC』という独自のスタイルを打ち出し、ANAHD直接の出資比率が低かった時代のPeachとも違う考え方で攻めようとしました。成田空港は、FSCたるANAの国際線部門において言わずと知れたスーパーハブ。ANAと同じことをやったのでは会社が成り立たないので、先に就航していたジンエアー(LJ=JNA ソウル市江西区、韓国証取上場)やエアプサン(BX=ABL、釜山広域市)など韓国系LCCの成功体験を参考に、事業方針を立てていったというのは業界内では周知の事実です。

それに対し、Peachの本拠地の関空はANA国際線の便数が成田と比べて圧倒的に少なく、第2ハブの那覇空港(沖縄県那覇市)はANAにとって貨物部門のハブではあるものの旅客の国際線便はないため、Peachがハブとしての価値を確立する過程で攻めの姿勢を打ち出せる環境にありました。そこでは、欧州最大手のLCC、ライアンエア(FR=RYR アイルランド・ダブリン、LSE上場)の成功例が参考になっていました。それによって那覇~バンコク(スワンナプーム)線などFSCでは採算の取りにくかった路線を新たに開拓したり、海外就航地から乗り込んでくる形での羽田空港(東京都大田区)進出など逆転の発想をPeachにもたらしました(前記事「Peachが羽田初上陸!関空~台北は1日3便に」参照)

しかし、バニラエアが16年10月の冬ダイヤで開設した台北桃園~ホーチミンシティ線は、それまでのバニラエアの拡大政策とは毛色が異なるものでした。LCCのバニラエアに、FSCのANAとの相互補完関係を迫るという、Peachでは絶対あり得ない判断。案の定、LCCの採算ラインと言われる搭乗率80%には達せず、1年半で撤退に追い込まれてしまいます(前記事「バニラエア、ホーチミンシティから撤退へ」参照)

成田~台北桃園・高雄といった日本と台湾を結ぶ路線では、Peachやタイガーエア台湾(IT=TTW)といった競合LCCはもちろん、FSCも巻き込んだ激しい価格競争になっていて、いくらバニラエアが完全子会社だからと言っても収益ギリギリの線で低空飛行していたのではANAHDにとって、足を引っ張るだけの存在になりかねません。バニラエアが現体制になってから5年。そろそろ抜本的なテコ入れをしなければならない状況に、ANAHDは追い込まれていったのです。

2018年3月14日水曜日

「18歳成人」で国籍選択のリミットが2年早まる!

政府は13日の定例閣議で、日本国民が成人として扱われる年齢をこれまでの20歳から「18歳」に引き下げる民法(1896=明治29年法律89号)改正案を決定し、国会に提出しました。

現行の民法では、第4条に

「年齢二十歳をもって、成年とする」(2004=平成16年法律147号の改正で口語文化)

と規定されています。改正ではこれを、

「年齢十八歳をもって」

と変更し、成人年齢を2歳引き下げます。ただし、天皇と皇位継承順位1位の男子皇族については例外的に18歳で成年(皇室典範22条)とされていたので、改正により皇族を含めたすべての日本人の成人年齢が一律に合わせられることになります。

今回の改正により、パスポート関連でもいくつかの変更があります。例えば、多重国籍者の国籍選択期限は

「満20歳に達する以前に重国籍となった場合は22歳までに、20歳に達した後である場合は(重国籍を取得した)その時から2年以内」(国籍法14条)

とされていますが、これが成人年齢の繰り上げにより、18歳で成年となった後2年以内、つまり満20歳の誕生日までに選択をしなければならなくなります。ただし、現在でも満20歳で成人になった後、22歳の誕生日までにパスポートの新規発給を受ければ、そのパスポートの有効期限までは選択期限が事実上、延長されているというのが実務で、改正後はこの運用が単純に2歳分引き下がることになります(前記事「国際結婚カップルの子供を作るときは」参照)

また、成年者のみに発給が許されている有効期間10年のパスポートは、改正が実現すれば満18歳から申請をすることができるようになります(旅券法5条)

民法改正案は開会中の第196回通常国会で審議され、可決成立すれば、4年後の2022年(平成34年)4月1日付で施行される予定になっています。