2006年1月3日火曜日

実践、オーバーステイ処理

沈没パッカーや長期在留者が必ず1度は経験するであろうオーバーステイ。中でも事例が飛びぬけて多い、タイでの処理方策を紹介します。

《国境、あるいは空港で罰金を払って解決》
在留許可が切れた日の翌日から出国するまでの日数に、500Bt.($13)を掛けた金額が罰金となります。ただし、計算の結果日数が40日を超える場合は、20,000Bt.が上限となります。

陸路ボーダー、あるいは空港でオーバーステイ状態の人が出国するときは、通常の出国審査場ではなく、併設されている移民庁現地事務所に行ってオーバーステイであることを申告し、罰金支払い決裁書と領収書を作ってもらいます。サパンプラ(ラノーン県)のように通常の出国が現地事務所で行われる場合でも、専用の窓口があるのでそこにパスポートを提出します。
提出を受けると、担当官は日数を計算して支払うべき金額を指示してきますので、それに沿ってバーツ建て現金で支払います。決裁書と領収書の指定された場所にサインをして、領収書を受け取ったら手続きは完了。通常の出国審査担当官のところに行って審査を受け、出国できます。
パスポートには「オーバーステイ○日により○Bt.の支払いを受けた」というスタンプが押されますが、通常、それによって再入国禁止など、旅行継続に支障となるような事態が起こることはまずありません。副董事長fortunesawadaが半年近い長期オーバーステイをして、サダオ(ソンクラー県)で20,000Bt.を支払った直後に、在ジョージタウンタイ領事館(マレーシア)を訪れて正規観光ビザの発給を受け、バンコクに戻ってきた例もあります。

ただし、在留許可期限が切れた日の翌日に空路で出国する場合、例外的に罰金(500Bt.)は免除されます。


《法律事務所に申し立てて解決》
中国語の新聞に広告を出している華僑系の旅行代理店や、弁護士有資格者のいる一部の旅行代理店、ワークパーミット取得業務を代行している弁護士事務所に申し出れば、長期オーバーステイをしている人でも摘発される前に自首扱いとなり、移民庁監獄に収監されることなく出国となる例があります。
ただし、その場合移民庁規定の罰金とは別に弁護士報酬も支払わなくてはいけませんし、摘発された時と違って罰金が引き直されることはありません。そして、出国用の航空券もその代理店から購入しないといけませんので、カオサンの代理店で買うより高くなることがあります。オーバーステイ中に就労していたなど余程の余裕がある人でなければ、移民庁に直接自首するか摘発されて移民庁監獄に入ってしまったほうが逆に有利になります。

《移民庁監獄に入ってしまった場合》
 長期オーバーステイにもかかわらず出国していない、あるいは帰国費用の支弁が不可能な場合には、移民庁担当官(移民警察)の摘発、もしくは自首により、バンコク首都圏サトーン区スアンプルー通りにある移民庁監獄(JFスアンプルー)に入り、国外退去手続きを待つことになります。JFスアンプルーに入ってしまうと、隣接国への陸路出国による解決は不可能で、一度本国に帰国するしかありません

オーバーステイ状態の外国人が移民庁に自首してくると、まず所持しているビザの延長が可能かを確認し、できる場合はさせます(1,900Bt.)。できない、もしくはその時点で延長費用の支弁が不可能な場合に、初めて収監となります。
移民警察に摘発された人は、その時点でビザの延長が不可能になっていることが多く、そのまま収監されます。

(画像2:JFスアンプルーの建物。移民庁本庁の一番奥にある)

収監されると、雑居房での生活が始まります。まずパスポートを預け、個人番号(IDC)の発行を受けます。その上で男性は5番房、女性は9番房(未決者専用)に入ります(以下、雑居房の番号は男性を前提に話を進めていきます)。

入所の翌日ないしは翌々日(入管移民法では摘発後48時間以内と規定されています)に、王宮前広場に面した司法省内の中央簡易裁判所に行き、罰金を引き直すための略式裁判を受けます。日本人で初犯であれば、2,000Bt.まで下がります。引き直された罰金を支弁できるのなら、その場でバーツ建て現金で支払えば、2番房か7番房(刑期満了者専用)に移って航空券の確保を待つことができます。

(画像3:中央簡易裁判所のあるビル。ラックムアンのすぐ奥だ)

もし罰金を支弁できなければ、 引き直された金額/1日あたり200Bt.(国籍によって変わります)で再計算した日数分の禁固刑となります。この時は4番房か6番房(既決者専用)に移り、拘置期間を過ごします。刑期満了を移民庁担当者が確認したら、罰金を払った人と同様に2番房か7番房に移って航空券の確保を待ちます。

雑居房では、3食と身の回り品の支給があります。食事は朝7時30分、正午、夕方5時の1日3回。身の回り品はシャンプー、石鹸、歯磨き粉が月2回支給されます。外界の情報は各部屋に1台ずつ設置されている衛星テレビで得られ、週末の夜にはサッカー中継が流されたりもします。

家族、支援者が面会できるのは月曜~金曜(祝日除く)の11時~12時に限られます。訪問相手のIDCを承知していることが大前提で、パスポート原本と個人情報のページのコピーを提出して立ち入り許可を受けます。

出国に必要な航空券はカオサンなどの旅行代理店で購入してもOKですが、「片道」で本国(第三国は不可)に帰国、かつ「経由便は同日乗り継ぎに限る」という条件を満たす必要があります。過去には、そっちのほうが安いからと言って45日オープン往復で発券して、移民庁の出獄決裁が下りなかった人もいます。支援者に発券を依頼する場合は、

1.パスポートに記載されている通りの名前(ローマ字)
2.パスポート番号
3.IDC
4.JFスアンプルーの電話番号(02-287-3101 内線2217)

を提示すればOK。董事長ふくちゃんはなじみのナイストラベル(カオサン・ママズゲストハウス前)で発券してもらいました。
発券されたら、JFスアンプルーに航空券原券かEチケット領収書を届けてもらい、出獄決裁を申し立てます。この辺は代理店の担当者がやってくれますが、支援者に頼むこともできます。
どうしても支援者が得られず、日本の身寄りもいない、もしくはサジを投げているならば、在バンコク日本大使館領事部邦人保護課(02-696-3002)に電話して指示を仰ぎます。帰国のための航空運賃を最高5万円まで借りることができます。

出獄決裁を受けると、パスポートに国外退去処分を示すスタンプが押されます。タイ語で「○年○月○日付けで国外退去を命じる」とするものですが、半年や1年程度の長期オーバーステイだけでは再入国禁止など、再度の旅行に障害となるような事態にはなりません。ただ、不法就労容疑をかけられたり、中にはパスポートの有効期限が切れた後もオーバーステイを続けているという悪質な例もあり、そのような場合には最高で5年の再入国禁止が科されることもあります。再入国禁止の人にはそれを示すスタンプが別に押されるという噂もありますが、詳細は不明です。

出獄当日は、飛行機の出発時間の3時間前に移民庁の公用車でJFスアンプルーを出発します。スワンナプーム空港に到着したら、担当官付き添いのもと搭乗手続きと出国審査をして、強制送還者専用待合室に入ります。搭乗開始時間が来たら、担当官と一緒に搭乗ゲートに向かい、見送りを受けて出国となります。ただし、日本ではパスポート番号をもとにしたAPIS(事前入国審査)が行われており、APISの結果日本の指名手配リストと一致すれば、到着地の空港で逮捕される可能性もあります。

(10月18日追加)
その後の状況変化(当Blogでも取り扱っています)を反映して修正しました。