2006年11月20日月曜日

タイ正規観光ビザの扱い、変わる

 10月1日から入管移民法の運用が厳格になり、1ヶ月以上が過ぎました(前記事「タイのビザ制度に大きな変更!!」参照)。ビザなし6ヶ月90日ルールとは違って、もう1つの重要な変更である正規観光(ツーリスト)ビザでの在留許可日数の変更は、きちんと実施されています。

 今日、ネパール人の知り合いからビザのことで相談を受けました。

「正規観光ビザを取得して入国したが在留許可が30日しか下りず、期限切れが迫っている。対策はないのか?」

 在東京タイ大使館(日本)のホームページには、以下のように説明されています。

・ビザなし渡航(30日)が認められている国の国籍者
 正規観光ビザで入国時に与えられる在留許可は60日。延長は1回30日まで可能。
 ダブル・トリプルビザ取得者は(60日+延長30日)*2、ないしは3が可能。
それ以外の国の国籍者
 入国時の在留許可は30日。延長はシングルビザの場合、1回、最大30日まで。


 即ち、同じ60日タイに滞在するのに、ビザなし渡航がある先進諸国出身者は1,000Bt.(正規ビザ1回)でよいのに、ビザの絶対必要な第三世界の人間からは2,900Bt.(ビザ1回30日+延長1回30日)取るということです。これは、アフリカ大陸など第三世界から不法就労や旅行者相手の詐欺など犯罪を犯しに来る者を減らそうという狙いがあります。
 管理者ふくちゃんがオーバーステイで摘発され、JFスアンプルー(移民庁監獄)に入った時、既決囚用雑居房で同室になったのは半分近くがアフリカ諸国出身者でした。彼らが移民庁監獄に入ると、罰金総額や禁固刑1日あたりの控除額が先進諸国出身者に比べて不利に設定されているため、強制送還に必要な航空運賃の確保が遅れることも相まって、比較的長期間収監されてしまいます。最高で9ヶ月間収監されたまま帰国できない人もいました。

 一方、事前にビザを取得した者への恩典性も強化されています。ビザオンアライバル(中国、インドなど20ヶ国に適用)では、陸路国境や空港で事前取得と同じビザ代(1,000Bt.)を支払っても15日の在留許可しか得られません。陸路国境で周辺諸国に一度出国してビザクリアするのも、1回(合計30日まで)に限られています。しかし、事前に大使館や領事館で正規ビザを取得した者には当初30日の在留許可と、それを出国せずに最寄の移民庁事務所で延長できる権利(最大30日*2回、合計90日まで)が与えられますので、正規ビザを持ってきた方が全然有利になります。

 移民庁の思惑通りに、第三世界からの悪質入国者が減ってくれるかは、今後の入管態勢の変化にかかっています。

(11月24日追加)
 この改定は、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)国籍を選択している在日コリアンにも適用されます。特に北朝鮮国籍者はタイに来る際事前のビザ取得が絶対に必要なので、大きな影響が予想されます。

(11月27日追加)
 管理者ふくちゃんのところに相談に来たネパール人の知人は、その後移民庁本庁に正規ビザの延長を申請したところ、7日間しか延長が認められませんでした。パスポートに過去5回正規ビザの発給を受けた実績があり、それが考慮されたようです。移民庁の審査によっては延長期間が短縮されてしまうという意味で、在東京タイ大使館の説明には誤りがあることになります。
 しかし、似たような条件の別の日本人が延長に行ったところ30日下りたといいますので、やはりビザなし渡航のある先進諸国と第三世界の間に格差があるのかな、とも思ってしまいました。