2009年1月21日水曜日

白石事件はどう考えても他殺だ!!

昨年10月から行方不明になっていた、東京都出身のバックパッカー、白石裕輝さん(26歳)とみられる遺体が、1月15日、バンケン区パホンヨーティン通りソイ51の雑木林の中で見つかりました。

(この件で、newsclipはパホンヨーティン通りソイ51の所在地をサーイマイ区と書いていますが、バンケン区の誤りです)

遺体は茶色のTシャツと黒色の短パンを着用していたものの、白骨化していました。所管のバンケン警察署では自殺と他殺の両面で捜査するとしていますが、これはどう考えても他殺です事件が完全に解明されなければ、父親・白石伸二さんの思いは晴れません。徹底的な捜査を求めたいところです。


まず、裕輝さんは今回の旅行が人生初めての海外渡航だったということに注目します。6月30日にスワンナプーム空港に到着しますが、カオサン通りの安宿ではなく、1泊1,000Bt.近くするホテルに宿泊しています。ガイドブックを持ってきていなかった可能性があります。

その後、裕輝さんはカンボジアとベトナムを旅行しますが、9月26日付けの友人宛のe-mailで、手持ち現金とデジタルカメラを盗まれたと訴えてきます。この時は、帰国に必要な航空運賃と当面の生活費相当の金額を日本から送金させているはずで、無事にバンコクに戻って来れています。そして、10月25日のチャイナエアライン(CI=CAL)66便を予約し、帰国する予定でした。

ところが10月23日、今度は実家の父・伸二さんの元に裕輝さんから電話が入ります。

「現金を送ってほしい。また後で連絡する」

警察病院(パトゥムワン区)による検死の結果、遺体は死後最低でも3ヶ月前後経っていると鑑定されており、もし遺体が裕輝さんのものであるならば、裕輝さんはこの電話の直後に死亡していなければ辻褄が合いません。

現に、10月25日のチャイナエアライン66便に、裕輝さんは搭乗しませんでした。搭乗日の時点で既に死亡しているのですから無理もありません。

そしてその電話の際、後ろから日本語以外の聞き慣れない言葉が聞こえてきたと、伸二さんは語っています。これが何語なのかが董事長ふくちゃんには判りかねますが、カオサン周辺のフィリピン人トランプ詐欺師であればタガログ語。麻薬密売人であれば、タイ語でしょう。ともかく、日本人以外の外国人との間で金銭に関するトラブルがあったと考えられるのです。

タイちゃんねるの書き込みによると、2008年10月21日と22日の2日続けて、裕輝さんは宿泊したホテル(パヤタイ区)でトラブルを起こし、在バンコク日本大使館邦人保護部に通報されているといいます。最後の電話をかける前日と前々日です。そこでのトラブルが一体どういうものであったかについて詳細は明らかにされていませんが、過去には同じパヤタイ区内のゴーゴーバーで、客の日本人男性が請求を巡ってトラブルになり、スタッフに殴り殺された例もあります。

ある事情通の方によりますと、トランプ詐欺師にやられた後、「手持ち資金が足りなくなった」と申し出ると、ATMで下ろさせるだけでなく、「それなら増やさせてやる」と言って違法賭博場へ連れて行くことがあるといいます。トランプ詐欺どころか違法賭博でも負け、身包み剥がされて「足りない分は命で払ってもらう」という理由で殺される例が、タイ人か外国人かに関係なくあり得るとのことです。

また、時事通信バンコク支局電によると裕輝さんは首を吊った可能性があるとの指摘があります。これは、第一報を報じたタイ語大衆紙「カオソット」が

「遺体の首に白い紐のようなものが巻きつけられていた」

と記述したことに対する警察関係者の言葉を取り上げたものです。

木に紐をかけての自殺、もしくは自殺に見せかけての他殺であるなら、死後相当の期間が経ち、首の周りの組織が腐敗してくると、白骨化した遺骨は地面に落ちてきます。その時に紐も一緒に落ちてきた可能性があります。紐が木の上に残ったとしても、遺体の重みで切れる可能性だってあるのです。

または、別の場所で殺害された後に、首吊り自殺に見せかけるために運ばれた可能性だってあるのです。遺体発見現場のパホンヨーティン通りソイ51は、ドンムアン空港の南東約5km、陸軍バンケン駐屯地の対面です。カオサンから北東へ約20km。普通の外国人旅行者では、まず周辺には泊まりません。沈没組であったとしても周辺にアパートを借りる人はほとんどいないでしょう。そもそもバンケン区自体が、日本人であれば駐在員さんの週末ゴルフ以外では用事もない地域です。こんなところに初海外の裕輝さんが、わざわざ自殺するための場所を探して来る理由がありますか?

(画像:パホンヨーティン通りから100mも入れば、こんな雑木林が)

刑法3条2項には、

「日本国外において日本国民に対して次に掲げる罪を犯した日本国民以外の者に適用する」

罪として、殺人罪が挙げられています。これを解釈すれば、もし首都圏警察が中途半端な捜査で闇雲にしたならば、日本当局が捜査に乗り出すことができます。現に棚橋事件(前記事「安田誠氏殺される」参照)では、棚橋さんの実家を所管する岐阜県警察が特捜本部を作って、逃げた浦上剛志容疑者を未だに追っています。白石さんの実家は東京ですから、所管は警視庁。直ちに捜査協力を要請すべきです。