2009年1月30日金曜日

【速報・超重要】タイランドエリートクラブ、廃止へ

 外国人超富裕層から会費を取って各種の優遇サービスを提供してきた「タイランドエリートクラブ」が廃止される方向で検討されることになりました。プティポン副報道官が28日の定例閣議終了後の記者会見で、アピシット・ウェチャチワ首相からの指示として述べたものです。

 タイランドエリートクラブはタクシン・チナワット元首相時代の2003年に導入され、当初は入会金100万Bt.を納めて会員証(エリートカード)を受け取れば、発給日から5年以内に何度でも、最大90日間の在留が認められるビザ(エリートクラブ会員用特殊ビザ)を受けたり、タイ国際航空国内線のロイヤルシルククラス(ビジネスクラス)割引、提携ゴルフ場のグリーンフィーやスパの利用料も無料になるなどの特典がありました。
 しかし、2008年までに100万人の会員獲得を目指すとした構想は、1年目から大狂い。審査の厳しさが災いして、当初1年間はほとんど入会を認められる人がいない事態になりました。2年目から方針は転換したものの、2008年1月からは入会金が150万Bt.に値上げ、さらに優遇サービスの縮小もあって余計に売れなくなりました。
 致命的だったのは、5年間有効の特殊ビザを受けたとしても、そのままでは就労できないということでした。特殊ビザを持っていた人が現地法人設立を理由にNON-Bへ切り替えたら事実上、エリートクラブの価値は半減です。2006年9月のビザ制度改定でNON-O(300万Bt.投資)が廃止された後は、実質的な投資ビザとしての意味合いがあったにもかかわらず、本社の経費でタイ現地法人の社長に持たせてあげることができなかったのでは意味がありません。

 現在の会員数は日本人400人を含むわずか2,570人と低迷しています。運営会社「タイランド・プリビレッジカード」(バンコク首都圏バンラック区)は2006年12月期決算で11億Bt.を超える累積赤字を出し、国庫(観光スポーツ省)から拠出された資本金10億Bt.が2年以上も前に全額毀損しているだけでなく、日本ならば上場廃止になる3期連続の債務超過がほぼ確実な状況。タクシン政権時代の負の遺産を清算する過程で、廃止は避けられない状況になっていました。

(画像:TPC本社。バンコクに残る負の遺産と言っていいのか)

 お手持ちの特殊ビザは少なくとも有効期限まではそのまま有効。2004年に発給を受け、今年期限が切れる方の更新はとりあえずは認められるようですが、特典がいつまで運用されるかは不透明です。会員の方にはタイランド・プリビレッジカード本社から個別に連絡されますのでその指示をお待ちください。また、2月以降に新規入会を予定されていた方は事実上入会できないものと思ってください。