2009年6月3日水曜日

住民票を抜いたら裁判所にも連絡を

 5月21日から始まった裁判員制度。在外の日本人は関係ないよ、知らなくてもいいんじゃない?とお思いの方、実は結構重要です。きちんと手続きをしてから日本を後にしないと、帰国したときに思わぬ過料を請求される恐れもあります。

 裁判員制度では、年1回11月に、翌年1年間に必要な裁判員候補者を選び、「名簿に記載」します。選考に使われる資料は永久選挙人名簿です。ですから、20歳未満の方は当然選ばれません。在日韓国人3世など、日本パスポートを持っていない方も選ばれません(ただし、帰化した場合は別です)。
 では、万が一名簿に登載された後に、海外駐在やバックパッカー旅行などで長期間日本を離れる場合は、どうなるのでしょう? 董事長ふくちゃんは法務省刑事局裁判員制度啓発推進室に問い合わせ、回答を得ました。


《2008年11月28日以前から海外にいる場合》
 住民票を抜く(海外転出)手続きがなされていれば問題なし。帰国して住民票を入れるまで、裁判員に選ばれることはありません。

《2008年11月の時点で住民票があり、留守宅に「裁判員候補者名簿記載通知」が届いた場合》
 「名簿記載通知」を受け取っただけでは、まだ裁判員になることは確定していません。ですから、受け取った後でも「呼び出し状」(「選任手続き期日のお知らせ」)が届く前に転勤が決まった時は、海外転出を届け出ればその年の11月(11月以降に出発する場合は翌年の11月)に行われる名簿作成から、裁判員には選ばれません。ただし、呼び出し状が届いてしまうと、ややこしくなります。

《呼び出し状を受け取り、期日前に渡航が決まった場合》
 お住まいの自治体で、住民票を抜く(海外転出)手続きをしただけで、自動的に辞退の手続きができるわけではありません
 
呼び出し状には「質問票」が添えられており、駐在員本人であれば、「自身で処理しなければ会社に著しい損害を生じさせ得る事情」に該当すると回答することで、辞退が認められる可能性があります。
 また、20歳以上でも大学・専門学校に在学中の学生は、学生証のコピーを提出すれば辞退が認められます。また、70歳以上のお年寄りも運転免許証、住基ネットカードなど生年月日を証明できる身分証明書の提示で辞退はできます。呼び出し期日よりも前の段階で裁判所から辞退を認められた方は、期日に裁判所に行く必要はありません(「呼び出し取消」といいます)
 ただし、会社を辞めているなど時間に余裕のあるバックパッカーや、駐在員の奥様は、こうはいきません。辞退は原則として認められませんので、出発日をずらしてでも呼び出し期日には必ず、裁判所に行かなければなりません呼び出し期日にきちんと裁判所に行けば、裁判員に選任されず帰されたとしても日当の半額相当(4,000円)と交通費はもらえます。これを、質問票にウソの理由を書いて不当に辞退を認めさせてしまうと、30万円以下の過料、下手すると50万円以下の罰金に処されます。

 ですから、住民票を抜く手続きをした後、必ず呼び出し状を発付した地方裁判所に連絡を入れ、その指示に従って出発準備を進める必要があります。

《住民票を抜き忘れていた場合》
 2008年11月27日までに住民票が職権消除されていれば問題なし。帰国して住民票を入れるまで、裁判員に選ばれることはありません。
 2008年11月27日の時点で住民票が残っていて、名簿に記載されてしまうと、その住所に「名簿記載通知」と「呼び出し状」が届くことになります。住民票記載の住所が留守宅で、ご家族もいる場合は、ご家族の方から裁判所に連絡すれば辞退が認められることもあります。ただし、旅行を一時中断して呼び出しに応じる場合、旅行を中断した場所から日本までの航空運賃は自己負担となります。
 これが例えば、派遣切りに遭って海外へ出たなどの理由で、住民票の住所に既に他の人が住んでいるとなると大変です。
 もし「呼び出し状」が不達となって裁判所に戻されたり、後から住んだ人が関係ないと言って捨てたなどということになると、最悪の場合「正当な理由もなく呼び出し期日に出頭しなかった」とみなされ、10万円以下の過料に処されることがあります。過料を払えないと、日本に残してきた銀行の残高から強制執行されてしまいます。