2009年8月25日火曜日

タイ、6年ぶり死刑執行

 司法省は24日、バンクワン終身刑務所(ノンタブリ市)に収監されていたタイ人死刑囚2人の刑を執行したと発表しました。タイでの死刑執行は2003年12月12日に4人が処刑されて以来、5年8ヶ月ぶりとなります。バンコクで発行されている中国語紙「世界日報」が25日付で報じたものです。
 これに対し、バンコク週報はHPでわずか2行で片付け、Newsclipは25日16時時点で掲載していません。日本の大手メディアも、どこも触れていません。

 今回処刑された2人は、いずれも元麻薬売人。タクシン政権下で反麻薬戦争が始まる直前の2001年、麻薬密売目的所持(ヤーバー:覚せい剤10万錠)を問われて死刑相当となり、司法取引を拒否して死刑判決を受けました。処刑は塩化カリウムを医師が静脈注射し、急性高カリウム血症を起こさせて急性心停止に導く方法で行われましたが、この方法が採られたのは前回2003年12月に続いて史上2度目です。それ以前は射殺でしたから、少しは現代的になったとの声も一部にはあります。

 タイの死刑制度では、外国人受刑者に対しても執行が可能となっています。日本でも先日、東京で華僑6人を殺害した中国国籍の死刑囚が本国から見捨てられる形で執行を受けました。バンクワン終身刑務所にいる日本人長期囚の命を守る、逆に言えば、タイで処刑台に立たせないためには、先日調印までたどり着いた日泰間受刑者移送条約(前記事「バンクワンの長期囚、来年帰国へ」参照)を両国が早急に批准し、バンクワンだけでなくタイ国内に在監しているすべての日本人受刑者を帰国させる必要があります。

 同じ死ぬなら、せめて日本に戻してあげたい。8月30日の総選挙で選ばれる衆議院議員には、海外での刑死という末代まで残る屈辱から、同胞を救う重大な任務が課されます。