2009年11月3日火曜日

KLで日本人運び屋逮捕、死刑必至

 クアラルンプール・KLIA(クリア)空港の税関で10月30日、日本人女性が持ち込んだ荷物の中から覚せい剤4.7Kgが見つかり、税関当局はこの女性を麻薬密売目的所持の現行犯で逮捕しました。このまま有罪となれば、日本人として史上初めてとなるマレーシアでの死刑執行が避けられなくなります。クアラルンプールで発行されている中国語朝刊紙「南洋商報」と、マレー語朝刊紙「ベリタハリアン」がどちらも11月3日付けで、国営ベルナマ通信(BERITA NASIONAL MALAYSIAの略)からの報道として伝えたものです。
 この事件で逮捕された竹内真理子(たけうちまりこ)容疑者(35歳、青森県出身)について、現地警察当局は在クアラルンプール日本大使館とも調整した上で、当初は実名を公表しませんでした。在クアラルンプール日本大使館邦人保護部は

本人から匿名にしてくれと申し出があった

としています。ベルナマ通信HPに掲載された原文や、今日3日のマレーシア国内各紙(董事長ふくちゃんはたまたまコタバルにおり、中国語紙に加え、マレー語、英語紙も見ることができました)にも実名は出てきません。
 ところが、TBSテレビが3日未明、青森県出身の30歳の女性(第一報では匿名)と報道。これに対し、産経新聞シンガポール支局は30代と書いていました。そして、フジテレビが3日昼、実名報道に踏み切って身元が判明してしまいました。


 税関当局の調べによりますと、竹内容疑者は30日夜、ドバイ(アラブ首長国連邦)からのエミレーツ航空(EK)342便でKLIA空港に到着しました。その際、スーツケース3個を預けていて、そのうちの1個、ないし2個の底の部分に覚せい剤が隠せるよう改造し、4.7Kgもの覚せい剤を仕込んでいました。KLIA空港のイミグレを通過した後、バゲッジクレームで荷物を受け取り、税関検査を受けようとしたところで係官がスーツケース3個は1人旅にしては多すぎると判断。開被検査したところ、ケースの底にあった覚せい剤が見つかったとのことです。

 マレーシアは麻薬事犯に対する刑事罰が特に厳しいことで知られ、運び屋の間でもマレーシア経由の輸送は余程のことがない限り回避するのが常識のはず。これまで日本人が運び屋容疑で逮捕されたことはありませんでした。
 ADカードにも記載されている通り、今回のような密売目的所持は死刑(絞首刑)以外に法定刑がなく(危険薬物法39-B条)、まさに文句なし。ごく微量であっても麻薬所持の現行犯は最高刑が死刑(大麻=200g以上、ヘロインや覚せい剤など=15g以上)です。そこまでのリスクを犯してまで、竹内容疑者がマレーシア経由での輸送を選択したのは、理由があるとしか考えられません。

 一時主流になっていた韓国経由の輸送で、仁川空港に到着した際に逮捕されるケースが続出したため、経由地を変更するケースがあったといいます。パキスタンやイランといった中東からの輸送では、中東方面への航空便数が多いバンコクを経由する例が後を絶たず、そのバンコクでもスワンナプーム空港で逮捕される運び屋が多数います。そこでシンガポールやクアラルンプールといったリスクのある経由地であっても、使う必要に迫られる状況になっていったと想定されるのです。

 竹内容疑者の場合、2009年4月17日のKLIA空港を最初にここ半年間で数回、マレーシアに出入国した記録が残っていて、今回もマレーシア航空(MH)88便に乗り継いで成田国際空港へ向かう予定だったとみられています。
 そして、竹内容疑者は10月29日(金)から11月1日(日)までの予定で行われていたマレーシア税関の特別検査期間など、知る由もありませんでした。この特別検査は抜き打ちで、現地の報道機関にも伝えられていなかったようです。そのためにマレーシアの入国審査の甘さが彼女の心に焼きついていて、今回もいつもの調子でいけるだろうと思っていたのが結果的に命取りになったと、董事長ふくちゃんは推測しています。

 これについて、顧問・クーロン黒澤は

「(彼女が)余程のアホだったんだな」

と斬り捨てています。

 外務省領事局海外邦人安全課は

「事実を確認しており必要な支援をする」
としていますが、危険薬物法による死刑は外国人でも容赦がないとされており、このまま死刑が確定、執行されれば、1957年のマレーシア独立以来、初めて日本人が現地で死刑執行を受けることになります。