2010年7月31日土曜日

上海航空、スターアライアンスから追放へ

上海航空(FM=CSH、中国上海市静安区)が10月31日限りで、スターアライアンスから脱退することが明らかになりました。スターアライアンスから脱退する会社が出るのは2007年のヴァリグブラジル航空(RG=VRG)(前記事「スターアライアンス、ヴァリグ航空を追放」参照)に次いで3年ぶり、史上4社目となります。親会社の中国東方航空(MU=CES 上海市浦東新区、上海A株・香港H株上場)がスカイチーム加盟を決めたためで、上海航空もホームページで東航に追従してスカイチームへ移籍すると説明しており、事実上の追放です。

2007年12月12日、上海航空は中国国際航空(CA=CCA、北京市)と同時にスターアライアンスに加盟しました。当時の上海航空はANA(NH:東京都港区、東証1部上場)の支援を受けて国営メガキャリアである東航に対抗できるビジネスモデルを確立しようとしていた時代で、国内線に加えて日本の関空と富山空港に就航。2007年9月、定期チャーター便の開設が認められた東京・羽田~上海・虹橋線に毎日1便を就航させました。

しかし、リーマンショック後の航空需要の急激な縮小で経営が悪化。2010年2月、上海航空は東航に買収され完全子会社となります。そのとき東航はまだアライアンス戦略を検討中だったのですが、4月、東航はスカイチームへの加盟に向けて準備を始めると発表します。中国大手3社のうち、スターアライアンスには国航が既にあり、一方で中国南方航空(CZ=CSN 広東省広州市、上海A株・NYSE上場)は国航よりも一足早く、スカイチームに加盟していました。上海航空とスターアライアンスのこれまでの関係を考えると、東航は日本航空(JL=JAL、東京都品川区)からオファーのあったワンワールド加盟を蹴って、スターアライアンスに加盟するのが自然な流れという見方もありましたが、結局東航はスターアライアンスをも蹴飛ばしてしまいます。東航は、自社のビジネスモデル維持に大きな支障が出てくるスターアライアンス加盟を承服できなかったのです

主力の日本線で、東航はJALとコードシェアを組むなど親密な関係にありますが、JALはワンワールドメンバー。スカイチームとワンワールドは加盟後も他のアライアンスの加盟社との関係を続けることができるといい、先にスカイチームに加盟したベトナム航空(VN=VNA)は日本線でJALとのコードシェアを引き続き行っていますが、スターアライアンスではこれができなくなってしまうのです。

スターアライアンスの規定によると、メンバー社が他のアライアンスに加盟している会社と共同運航を行った場合、その便では自社以外のスターアライアンスメンバー社のマイレージプログラムにマイルを加算できなくなるといいます。過去にはタイ国際航空(TG=THA)がバンコク~名古屋・大阪線でJALと共同運航を行い、TG便名で購入してもANAマイレージクラブやマイレージプラス(ユナイテッド航空=UA)にマイルを加算できないという事態になりました。もし東航がスターアライアンスに加盟してしまうと、JALとの関係を断ってメンバー社であるANAとコードシェアを組み直す必要があり、両社の長年の関係が破壊されるどころか、会社更生手続き中のJALの再建にも暗雲が立ちこめてしまいます。

また、東航は両岸直航(台湾線)でチャイナエアライン(CI=CAL 台湾桃園県大園郷、台湾証取上場)と提携していますが、チャイナエアラインはアライアンスに属しておらず、東航がスターアライアンスに加盟すると、日本航空との間と同様の支障が出てしまいます。チャイナエアラインの場合、南航の支援を得てスカイチームに加盟する可能性もあるといい(前記事「チャイナエアライン、スカイチーム加盟へ動き出す」参照)、もし実現すれば同じスカイチーム内でさらに関係を強化することができます。

さらに、国航は北京・首都空港をハブとしていますが、旧中国民航時代からの流れで上海が第二のハブになっており、東航がスターアライアンスに加盟すると、上海を発着する中国キャリアの国際線便がすべてスターアライアンス系になってしまい、競争がなくなってしまう可能性があるといいます。日本の場合、成田をハブにしているキャリアは3大アライアンスすべてに分散しています(JAL=ワンワールド、ANA=スターアライアンス、デルタ航空=スカイチーム)。韓国も大韓航空(KE=KAL)がスカイチーム、一方アシアナ航空(OZ=AAR)はスターアライアンスと分散していますし、中国も近接している香港と広州を一体にして考えれば華南地区が2つのアライアンスのハブになっている(南航=スカイチーム、キャセパシ=ワンワールド)ので、一つのアライアンスへの過度の集中を避けるという意味で、東航がスターアライアンスを蹴ったのはある意味理解できることと言えるのです。

0 コメント :

コメントを投稿