2011年12月19日月曜日

金正日総書記死す!北朝鮮への旅行に支障か

北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の第二世代の最高指導者として17年に渡り君臨した金正日(キムジョンイル)朝鮮労働党総書記が17日朝、急性心筋梗塞で亡くなりました。享年69歳。国営朝鮮中央テレビが19日12時から放送した「特別放送」を日本国営ラヂオプレス通信が分析して報じました。

(画像1:最近の金正日総書記。共同通信から拝借しました)

朝鮮中央テレビは19日朝、通常なら夕方からの放送予定を大きく繰り上げて9時に放送開始し、

「正午から特別放送を行う」

と予告。「特別放送」は、社会主義国において最高指導者クラスが在職のまま死去した場合に行われるのが慣例で、北朝鮮の国営メディアでこの文言が出るのは1994年7月8日の金日成主席の死去に関するもの以来、17年半ぶりでした。その特別放送ではアナウンサーが

悲痛な気持ちでお知らせしなければなりません

と切り出し、続けて総書記がこの日の朝、特別列車で現地指導(地方視察のこと)に行こうとして

積み重なる精神、肉体的過労により列車(内)で逝去された

と伝えました。

1994年の金日成主席の死去後、北朝鮮国内では事実上3年間の服喪体制となりました。今回も既に後継者に決まっている金正恩(キムジョンウン)国防委員会副委員長主導の次期体制が即時始動すると発表しましたが、長期間の服喪体制による混乱は避けられそうにありません。金正日総書記は2012年4月15日に予定されている金日成主席生誕100周年祭の席上、自らの手で金正恩副委員長を後継者として正式に内外に紹介しようと考えていたようですが、それもかなわなくなりました。

総書記は就任後、社会主義に領袖論を導入した北朝鮮の根幹的な指導理論『主体(チュチェ)思想』に軍事独裁的な要素を加えた『先軍路線』を打ち出しました。100周年祭までに「強盛大国の大門を開け」として戦前日本の軍国主義に近い形で国民を鼓舞してきましたが、その最高指導者がこの世を去ったことで、2代60年に及ぶスターリン主義独裁の綻びが一気に表面化する可能性があります。締め付けの強化によって脱北(亡命)者が増加すれば、彼らが向かう先である中国やタイにまで影響が及びます。

ただでさえ厳しい外国人旅行者の受け入れは、ますます厳しくなることが必至です。韓国の基幹通信社聯合ニュースは29日に平壌で予定されている「追悼大会」(国葬に相当)では外国からの弔問使節団を一切受け入れないとも伝えており、旅行者は尚更とみられます。旅行者のほとんどがビザを申請する在北京北朝鮮大使館(中国)では外国人へのビザ発給に支障が出ているとみられ、現在在北京の各国大使館が確認を急いでいます。