2012年2月14日火曜日

スカイマーク、エアバス333でバンコク線参入か!?

日本のLCCの草分けともいえるスカイマーク(BC=SKY 東京都大田区、東証マザーズ上場)が、昨年発注したエアバス380に続いて、エアバス3336機を購入する意向を固め発表しました。近く、メーカーのエアバス社が日本に置いている出先法人「エアバスジャパン」(東京都港区)との間で覚書に調印する予定です。

スカイマークは1997年の就航当初、A333とよく似たサイズの中型機B763ERを使っていましたが、2000年代中頃に国内線をB738に統一する過程で退役。今回は、2014年の参入を決めている国際線の機材として投入するA380を補完する役割と、主力の東京・羽田空港発着の国内幹線でB7382機分の座席数を提供することによる輸送力増強を期待しているとみられます。

A380では一般的なエコノミークラスを設けず、ビジネスクラスとプレミアムエコノミーの2クラスで総座席数を400席以下に抑えて運用するとしていますが、A333では座席設定はまだ未定。他のLCCに倣った仕様にするか、自社A380と同じくプレミアムエコノミーにして差別化するか、あるいはエコノミークラスを設け、先行する本格キャリア2社(日本航空=JL、ANA=NH)との間で競争を挑むか。西久保慎一社長は日本ブルームバーグの取材に対し

「小さい機材でコストを削減して、という時代は終わり。幹線にB738では満席便が多くなりお客様を取り逃してしまっている。機体を大きくしても搭乗率90%はいける」

と説明、当分は国際線仕様のビジネスクラスを設定しないとも取れる発言をしました。

エアバス330ファミリーを使っている他のLCCでは、AirAsiaX(D7)は2クラス運用ながらもビジネスクラスの席数を減らし、しかもエコノミークラスを詰め込み仕様にして400席近い輸送力を確保しています。ジェットスターエアウェイズ(JQ)ではA333よりも機体長が短いA332を使っているものの2クラスで303席という輸送力仕様になっています。一方、大手キャリアではシンガポール航空(SQ)の場合、A333で300席を下回るゆったりとした座席配置にしています。
SKYでは国内線2クラス仕様で331席としてB738(177席)の2倍近い席数を供給、A380と共通のプレミアムエコノミーの座席を設けて上級クラスのコストを削減します。以前、B763を使っていた頃には「シグナスクラス」という上級クラスがありましたが、ホットミールなどの先進的なサービスはあったものの最後は中途半端に終わってしまったこともあり、日本航空のクラスJ(国際線のプレミアムエコノミーに相当)を意識したものへと方針を切り替えたと考えられます。

注目の路線計画では、A380を欧米への長距離路線に使う意向で、A333はまず国内幹線に投入するとしていますが、これ以外に現在使っているB738が機材の性能の関係で就航できない日本から東南アジアへの直行路線を開設する道が開けます。そうなると、SKYが国際線のハブにする予定の成田国際空港から、バンコクやシンガポールといった路線が開設されてもおかしくはありません。
AirAsiaXが既に就航している羽田・関空~KLIA線では、AirAsia(AK)が保有するA320では直行で飛べません。ジェットスターアジアエアウェイズ(3K)は関空~シンガポール線を経由便とし、マニラと台北の2つの経由地を設けます。SKYが就航するなら、AirAsiaXやジェットスターへの対抗策はもちろん、大株主のエイチ・アイ・エスが仕掛けるチャーター便の運航経験を活かす意味でも、先発LCC2社のスーパーハブから外れるバンコクへの直行便が候補に挙がってくることでしょう。