2012年3月30日金曜日

エバー航空、10年越しのスターアライアンス加盟実現へ

エバー航空(BR=EVA)は29日、台湾・桃園県の本社に国際航空連合「スターアライアンス」社長会を迎え、30社目となるアライアンス加盟承認を満場一致で受けました。台湾の航空会社では最大手のチャイナエアライン(CI=CAL)が昨年、スカイチームに加盟したのに次ぐもので、会社にとって10年越しの悲願が実現します。加盟推薦状は中国国際航空(CA=CAA)が用意し、ANA(NH)とユナイテッド航空(UA=UAL)が保証する形を取ります。

エバー航空はその名の通り、「エバーグリーン」のブランド名で知られる台湾海運最大手、長栄海運の子会社としてスタートしました。1989年の設立以来、ここまでどこのアライアンスにも加盟していませんでしたが、チャイナエアラインがデルタ航空(DL=DAL)との長年の友好関係を軸にスカイチーム加盟を実現したことに対し、エバー航空は旧コンチネンタル航空(CO=COA)と提携しており、2004年にコンチが旧ノースウエスト航空(NW=NWA)と共にスカイチームに加盟したことで行き場を失い、アライアンス化の流れから取り残されてしまっていました。つまりは、コンチのスカイチーム加盟決定まで遡ればこの10年間はエバーにとって「失われた時間」だということ。台湾2位の長距離国際線キャリアとして実績と経験を積むべきところが抑え込まれた形で、欧州線ではバンコク経由の南回り路線が現在でも主流。日本線でもANAとのコードシェアは実現したものの本格的な輸送拡大には待ったがかかりました。国内線部門を担当していたユニエアー(B7=UIA、立栄航空)も台湾高鐵(新幹線)の開業で台湾島内の幹線をほとんど失いました(前記事「台北~高雄の航空路が壊滅」参照)。しかし、エバーは苦難に満ちた2000年代を耐え抜き、ANAと共に次の時代へのステップを探っていました。

2008年の中国大陸直行路線解禁を受けて、チャイナエアラインは中国南方航空(CZ=CSN)との関係を強化。やはりパートナーとなった中国東方航空(MU=CES)ともどもスカイチーム加盟へまっしぐらに進みますが、エバーは残った選択肢ともいえた国航との関係を強化し、大陸線を運航しつつもむしろ日本へのチャーター便に生き残りを賭けた復興航空(GE=TNA)と一線を画そうとします。そして2010年、コンチがユナイテッド航空と合併する道を選んだことが、エバーにとっての転機となり、一気にスターアライアンス加盟に向けた視界が開けたのです(前記事「コンチ塗装のUAなんて反則だ」参照)。エバーは同じ中華文化圏の国航と、長年のパートナーのANAが先に加盟していたスターアライアンスに入って、両社と共に両岸直行や日本路線でビジネスを拡大する方針へと舵を切りました。旧コンチのスカイチーム加盟決定から、8年が経っていました。

加盟準備は国航とANAが全面支援して、1年強で完了する予定。来年第2四半期中には、エバー航空は念願のスターアライアンスメンバーとして「第2の創業」を迎えます。