2012年4月22日日曜日

bmiとBAが統合、スターアライアンスから脱退へ

ルフトハンザ(LH=DLH ドイツ・ケルン、フランクフルト証取上場)は、子会社のbmi(BD、イギリス国籍)をブリティッシュエアウェイズ(BA=BAW)とイベリア航空(IB=IBE)の共同持ち株会社「インターナショナルエアラインズグループ」(IAG、ロンドン)に売却する手続きが完了したと発表しました。これを受け、bmiは5月31日限りでスターアライアンスを脱退今後は、BAと経営統合してワンワールドのグローバルネットワークに組み込まれます。

イギリスの航空会社の歴史は、BAを中核とする合従連衡の繰り返しだといえます。1974年、英国海外航空(BOAC)と国内線部門のBEAが統合して現在のブリティッシュエアウェイズが誕生すると、1988年には当時の英国2番手キャリアだったブリティッシュカレドニアン航空(BR)を吸収合併。その直後にヴァージンアトランティック(VS)が誕生しています。そして、今回のbmiの統合で、またしても2番手キャリアがBAに取り込まれることになります。

欧州圏ではLCC世界最大手のライアンエア(FR=RYR、アイルランド・ダブリン)が業績を伸ばす一方で、本格航空会社は苦戦を強いられています。ワンワールドではエアリンガス(EI=EIN、ダブリン)がLCCへの戦略転換で脱退した後、昨年11月にIAGとルフトハンザがbmiをめぐる売買契約を交わした後も、マレブハンガリー(MA=MAH)が破産。その直前にはスターアライアンス加盟社だったスパンエアー(JK=JKK、スペイン・マヨルカ)が全便運航停止に追い込まれていました。それを考慮した上で、ルフトハンザグループが、世界でも有数の混雑空港として知られるロンドン・ヒースロー空港の発着枠という、欧州の航空会社にとって最強のプラチナ利権を一定割合抑えているbmiを売却しなければいけないところまで追い込まれたのには、理由がありました。

ルフトハンザグループは、ドイツと国境を接している国の本格航空会社を支援する形で拡大を進めてきましたが、その分ツケも背負っていました。特に、スイスインターナショナルエアラインズ(LX=SWR)とオーストリア航空(OS=AUA)を傘下に収めた時は、大きな負担を伴いました。スイスの場合、前身のスイス航空(SR)が破産したときの負債を引きずったことが響き、黒字経営に戻すまでに時間がかかりました。オーストリア航空では、リーマンショックで航空業界全体の乗客が減った直後に全株式取得となったため、ルフト本体に与える影響が大きくなってしまいました。このため、破綻寸前に陥っていたスパンエアーをある程度見捨てる形にしてでも、bmiの売却をまとめなければ、スターアライアンスの幹事社としての面目が失われてしまうとルフトは判断したのです。

ルフトでは自社の都合で売却したbmiについて、円満脱退の形を取りたかったのでしょうが、何せ相手がワンワールドの中核社たるBA。これでは、スパンエアーや古くはアンセットオーストラリア(AN)で取った、倒産による即時追放に近い形での告知にせざるを得なかったと見ることができます。

スターアライアンス加盟社が倒産以外の理由で脱退する場合には、予定日の少なくとも3カ月前以前に告知をしていないといけません。今回のbmiの場合は、発表から1ヶ月強での脱退ですが、昨年11月にIAGへの売却合意ができた時点で、bmiがもし会社を存続させてもワンワールドに行ってしまうのは目に見えており、最悪BAに吸収されるというところまで予測できたと考えれば、その時点からは6ヶ月の時間があり、ルフトは航空業界内部や、他のアライアンスの事情に精通しているマイレージマニアに対して十分な周知期間が取れたと判断したのではないか。そういう分析ができます。即ち、最初の発表の時点でbmiのスターアライアンス脱退に向けた布石が既に敷かれていたといえます。

また、スターアライアンス加盟他社とbmiのコードシェア便は5月31日限りで全便廃止されます。スターアライアンス加盟にあたっては、他のアライアンスに加盟、および独立系、もしくは自己都合によりスターアライアンスを脱退した会社との提携関係を制約する「排他協定」を結ぶ必要があるためで、bmi便は6月以降、BAへの統合が行われる段階で順次BAおよびワンワールド加盟各社とのコードシェアが結び直されます。最終的には、BA自社便としてワンワールドの欧州・アフリカ諸国ネットワークを強化する原動力になります。

bmiは欧州圏限定でマイレージプログラム「ダイヤモンドクラブ」を運営していますが、これは将来的にBAの自社プログラム「エグゼクティブクラブ」に統合、消滅する予定です。