2012年7月13日金曜日

SKYがANAを公然批判「JAL再上場に賛成」の意見書!!

スカイマーク(BC=SKY 東京都大田区、東証マザーズ上場)の西久保慎一社長は12日、東京・霞が関の国土交通省本省に羽田雄一郎大臣(民主党・参院長野選挙区)を訪ね、日本航空殿の再上場についての意見書という文書を提出すると共に、記者会見して発表しました。

日本の航空業界で、特定の航空会社が他社の経営状態について事実上の社論ともいえるプレスリリースを出すのは、極めて異例のことです。その中で、日本航空(JL=JAL、東京都品川区)の東証1部への再上場に反対の意思を示したとされるANA(NH、東京都港区)を名指しで批判する行があり、議論を呼びそうです。そこで、今回SKYが出した意見書を読みながら、解説、検討を加えることにします。長文になるので2分割とします。

《航空会社の上場は避けて通れない》

「改めて論じるまでもありませんが航空事業では長期にわたる多額の投資が必要です。事業計画が5~10年先にまで及ぶため景気変動に耐えられる資金計画が必要であり市場からの資金調達手段は経営をする上で不可欠です」

航空に限らず、社会の基礎をなす交通事業を営む会社には大きな設備投資が常につきまといます。特に航空業では、新規キャリアの経営が数年をかけて軌道に乗ってもなお、数歩先まで見据えた展開を考えなければなりません。

SKYの場合、事業開始当初の機材であるB763は既に全機退役し、現在はより小さいB738でネットワークを拡大しています。しかし需要の増加に追いつかせるための戦略として新たにB763よりも一回り大きいエアバス333の導入を決めています(前記事「スカイマーク、エアバス333でバンコク線参入か!?」参照)

ANAやJALでも、本体では今後納機が本格化するB788・789や、三菱MRJ90、エンブラエル175の導入が待っています。LCC(格安航空)子会社のエアアジアジャパン(JW)やジェットスタージャパン(GK=JJP)の機材調達では、それぞれの親会社であるAirAsia(AK=AXM マレーシア・クアラルンプール、マレーシア証取上場)とカンタス(QF=QFA オーストラリア・シドニー、オーストラリア証取上場)の持っている枠に依存せざるを得ません。それを実現するにも、パートナーとして入った以上は応分の負担を迫られます。手元資金の充実は喫緊の課題であり、その調達を銀行借り入れだけに依存する訳にはいかないのです。

《打倒JALが先決のANA》

「ANAが再上場に反対しているのは単なる企業間競争の中での論理でありけっして業界全体の安定を考慮しているものではありません」

これですが、ANA社内のJALに対するライバル心の問題ではないかと董事長ふくちゃんは分析します。
1987年(昭和62年)、国鉄分割民営化の陰でひっそりと姿を消した1本の法律がありました。「日本航空株式会社法」。株式の50%以上を国庫保有とすることを定めた、特殊会社JALの存立根拠となった法律です。これによってJALはナショナルフラッグキャリアとしての地位を得ましたが、一方のANAは創立以来ずっと純民間資本の会社として血の滲むような努力をしながら、JALに常にその立場を虐げられてきた、いつかJALに打ち勝ち、必ず追い越すという意識が社内に芽生えていました。

しかも、45・47体制によってANAの国際線参入は遅れ、ロッキード事件で当時の若狭得治社長が逮捕されるなど会社の先行きが不透明になったこともありました。現在の伊東信一郎社長兼CEOは、ちょうどその頃にANAに入社した人なだけに、JALへの対抗意識がいつしか個人的な怨念となっていたのではないでしょうか。加えてJAL再建を与党・民主党の手柄にさせることは許さないという最大野党・自民党の一部国会議員とも波長が一致して、今回の発言につながった。ふくちゃんはこう見ます。

「数年前に北海道国際航空さん(現・エアドゥ=HD)やスカイネットアジアさん(現・ソラシドエア=LQ)が倒産した際には業界の安定』を掲げ経営を支援して(結局は)ANAグループに取り込み新規航空会社の自由競争を歪めています」

エアドゥは民事再生法による法的整理、ソラシドエアの時は産業再生機構を通じた支援でしたが、どちらにしてもANAが株式を取得して実質傘下に入ったことで、コードシェア運航によるANA運賃ベースでの収入にある程度依存した経営とならざるを得ず、SKYが目指したLCCの本領ともいえる攻撃的な運賃体系が両社の独自運賃において目立たなくなったのは事実です。この結果、2007年にSKYはエアドゥの最重要幹線である羽田~新千歳線に参入することになったのです。