2013年4月5日金曜日

NHKラジオ第1放送を海外で聞くには?

NHK(日本放送協会、東京都渋谷区)の松本正之会長は4日、記者会見の席上で検討課題だったAM(中波)ラジオのデジタル化を見送る方針を固めたと述べました。これにより、ラジオ第1、第2の2系統があるNHKの中波ラジオ放送は、現行のアナログ方式で存続されることが確定。日本近隣のいくつかの国を旅している旅行者にとっても、万が一の時の貴重な情報源が維持される結果となりました。

(前記事「NHKの中波ラジオ、アナログ方式で存続決まる」から続きます。2分割の2本目です)

日本国内向けのラジオ第1放送の電波は、特に大都市の基幹局ですと大きな送信電力を使用しており、韓国では夜間には全土で受信が可能。昼間でも、対馬海峡に面した釜山市や慶尚南道、全羅南道の一部では福岡放送局(612kHz)が、日本海(朝鮮東海)に面した江原道では松江放送局(1296kHz)が受信できることがあります。台湾でも夜間には沖縄放送局(549kHz)が受信でき、中国では上海や大連など海に面した大都市で夜間に受信できたとの報告があります。

またNHKでは、ラジオ第1放送を世界中どこでもほぼ24時間聴取できる体制を整えています。短波放送『NHK WORLD ラジオ日本』では、1993年(平成5年)から独自番組(ゼネラルサービス)を徐々に縮小してラジオ第1放送の同時送信を増やし、現在は1日20時間の同時放送枠が確保されています。

バンコクやプノンペンでも、スマートフォンに慣れない高齢のロングステイヤーを中心に今でも短波ラジオを愛聴されている方がいます。タブレット端末やスマートフォン、エアカードなどを持っていても万が一ネットが途絶すれば世界の情報を得る手段は短波しかなくなります。

(画像:ソニーが販売している短波ラジオ『ICF-SW7600GR』。NHKワールドを聴くには短波の比較的高い周波数帯を受信できるラジオが必要)

インターネット経由では24時間聴取が可能。NHKが本来、日本国内向けに実施しているラジオ放送のネット同時送信らじる☆らじるは、日本のサーバを発着するVPN(VPNGateなど)を経由することで国外からの利用が可能。これなら、第1放送、第2放送、FM放送の3系統すべてを24時間聴けます。

VPNが使えない、または接続環境を整えられるだけのPCスキルがない場合でも、 ラジオの日本時間朝7時と正午、夜7時のニュース、そして夜10時台の大型ニュース枠『NHKジャーナル』(総合テレビの『ニュースウォッチ9』に相当)は、オンデマンドやポッドキャストで海外からの聴取が可能です。

これに加え、NHK WORLD ラジオ日本で平日1日3回、土日は1日1回放送している国際放送独自の15分ニュースは、国際放送の公式ホームページでオンデマンド配信されており、接続環境さえあれば聴けます。

ニュースだけを24時間、常に入手したいのであれば、報道局のtwitterアカウントをフォローするのも一つの手です。 ホームページのニュースコーナー『NEWS WEB』で随時更新されるニュースのタイトルを配信し、内容はパソコンやスマートフォンからHPにアクセスして見るというものです。既に250万人以上がフォローしており、「安心ラジオ」第1放送の補完を見事に果たしています。