2013年6月24日月曜日

エアアジア・ジャパン合弁解消

AirAsia(AK)のトニー・フェルナンデスCEOは、ANA(NH)との合弁で昨年運航を開始したばかりのエアアジア・ジャパン(JW=WAJ、千葉県成田市)について合弁を解消することを決定したと、共同通信が24日夜にシンガポール支局発速報で伝えました。現在の形のエアアジアジャパン便の運航はこの夏スケジュールが終わる10月31日(金)までで一旦終了となります。ただし、AirAsiaX(D7)が運航する羽田と関空からのクアラルンプール便は、11月1日以降も現状通り運航される予定です。

エアアジア・ジャパンがわずか1年3ヶ月で事実上の撤退に追い込まれた背景には、ANAの企業戦略を担当する持株会社、ANAホールディングス(東京都港区、東証1部上場)に格安航空会社への投資に対する見込みの甘さがあったのではないかと分析します。Traveler's Supportasiaでは以前にも、ANAという本格航空会社と同じ企業グループに、格安航空会社を2社も置くのは将来構想の上で問題があると指摘していました(前記事「SKYがANAを公然批判『JAL再上場に賛成』」参照)

この中で

「LCCの成長を求めつつも、本格航空会社であるANA本体の顧客もそう易々と逃がす訳にはいかないという、LCCと本格航空会社の両方を持つグループ特有のジレンマに陥るのではないか」

と書きましたが、同じくANAが出資しているPeach(MM=APJ、大阪府泉佐野市)が井上慎一CEO(社長)のリーダーシップの下、ANAとの間にある程度の距離というか独自性を保って事業を展開しているのに対し、エアアジア・ジャパンはブランドこそAirAsiaグループですが実際はANAの戦略に依存というか、振り回され過ぎたのではないか。董事長ふくちゃんはこう考えます。

大韓航空(KE)は傘下にLCCのジンエアー(LJ)を持っていますが、ジンエアーはあくまでもアジア近辺の韓国人に人気のある都市へ、KE便を補完する形で就航するスタイルを取っており、成田や関空といったビジネス路線には就航していません。

アシアナ航空(OZ)も子会社にエアプサン(BX)を持っていますが、こちらは仁川空港発着便に比べて劣る釜山・金海空港発着便の収益性を改善することが狙いです。
ANAは、不採算路線をLCCに移行することで収益の改善を図るというエアプサンの成功例をエアアジア・ジャパンにそのまま適用しようとしたのではないでしょうか。実際、成田~仁川線と中部セントレア~仁川線では、エアアジア・ジャパンの就航と前後してANA自社便が廃止されています(前記事「ANA仁川空港事実上撤退の背景は」参照)

これに対し、AirAsiaが求めたのは自社やタイエアアジア(FD)の初期に見られたような、攻撃的な経営スタイルによる急成長現状のままでは、AirAsiaの見込むスピードで現エアアジア・ジャパンが成長することは望めません。同じく成田をハブにしているジェットスタージャパン(GK)にも引き離される一方。7月以降こそ「好ましい動向」(フェルナンデスCEO)へと上向いては来たものの、2013年3月期決算では35億円もの赤字を計上していました。

「AirAsiaとANAは別々の道を行くべき時が来た。AirAsiaグループは『真のLCC事業に注力するが、日本の空の旅を変革するという目標は変わらない。パートナーは変われどいつの日か必ず日本国内線に再参入する」(フェルナンデスCEO)

速やかにANAとの合弁を解消して、新たなパートナーと新生エアアジア・ジャパンを立ち上げて、それまでの間AirAsiaブランドの日本国内線を飛ばせられないリスクを負ってでも、もう一度LCCのムーブメントを起こすべきだとAirAsiaグループは判断したのです。

《6月25日追加》
AirAsiaグループの戦略統括会社、エアアジア・アセアン(インドネシア・ジャカルタ)からの連絡を受けたANAホールディングスは臨時の取締役会を開き、AirAsiaグループが保有するエアアジア・ジャパンの株式を引き取って完全子会社化することを決定。これを受け直ちに両社は合弁解消の契約を結んだと発表しました。

《7月14日追加》
AirAsiaのWebサイトでは既に2014年8月搭乗分までの予約を受け付けていますが、エアアジア・ジャパン運航便は今年11月1日以降の予約ができなくなっています。しかし、5月に行ったBIG SALE(AirAsiaグループ全体で行う特売期間)の関係でかなりの席数が売れてしまっていることから、11月1日以降分の既存予約については無効とはせず、ANAグループが責任を持って運航するとしています。それがエアアジア・ジャパンと同じエアバス320を扱うANAウイングス(EH、東京都大田区)の担当になるのか、Peachのブランドを使うのか、それとも全く別の展開になるのかという詳細については、現時点で決定がなされておらず、7月末までの発表を目標にANAホールディングス社内で検討が進められます。