2013年8月27日火曜日

ANA、ミャンマーの新興航空会社を買収へ

ANA(NH)の持株会社、ANAホールディングス(東京都港区、東証1部上場)とその金融・投資戦略部門を担当する子会社「ストラテジックパートナーインベストメント」(シンガポール)は、ミャンマー国内線3位のアジアンウィングスエアウェイズ(YJ=AWM、ヤンゴン)に出資する方針を決めて発表しました。

外資制限いっぱいとなる発行済み株式の49%を2,500万US$(25億円)で取得して事実上買収。実現すればANAは日本国外で実際に航空便を運航する子会社を初めて手にするとともに、今年6月に設立されたばかりのストラテジック社にとっても初の投資案件となります。

アジアンウィングスはミャンマーが民政移管を果たした2011年、地元投資家2人の出資で設立された新興航空会社で、小型プロペラ機ATR72を使ってミャンマー国内線で路線拡大を進めてきました。毎日の運航予定をFacebookページで発表するなど信頼性の向上に努め、安定した集客に成功しているといいます。

ANAは、タンシュエ軍事独裁当局下で経済制裁を受けたミャンマーで、外国大手の資本が入った航空会社がまったくないことに着目しました。隣国タイにはタイ国際航空(TG)というスターアライアンス結成以来の大物メンバーがいるにもかかわらず、ミャンマー国籍企業への戦略的出資を決めたのは、現地の陸上交通事情が悪く、国内線航空に大きな成長の可能性があると判断したのが最大の理由です。

アジアの中でもとりわけ成長のポテンシャルの高いミャンマーの航空業界にいち早く参入し、ミャンマーの航空会社との資本提携関係構築により、同国を取り巻くアジア市場の航空需要を積極的に取り込んで参ります」(プレスリリースより引用)

ミャンマーの国内線航空は、ネウィン社会主義計画党政権時代に設立された国営ミャンマー航空(UB)を中心に、1990年代以降立ち上げられたエアマンダレー(6T)やヤンゴンエアウェイズ(HK)などの民間資本各社がしのぎを削っています。しかし、予約が少ないと当日の運航キャンセルもあり得るなどまだまだ不安定な状態が続いており、日本のようにどんなに搭乗率の悪い地方生活路線でも必ず毎日運航できるだけの強靭な体制や財務体質を持った会社はほとんどないのが実情です。

ANAはこの現状を改善することができれば、ASEAN域内最後のフロンティアと目されるミャンマーを足がかりにして東南アジアでグループの地位を大きく向上させることができる、そのための投資がわずか20数億円というのは極めて安い買い物だと判断した模様です。