2013年8月6日火曜日

TG仙台線定期運航決定!その裏に様々な思惑が…

タイ国際航空(TG=THA チャトチャック区、SET上場)は、日本7番目の就航地として仙台空港(宮城県名取市)への定期便運航を開始すると決定、正式に発表しました。 7月から行われているタイ国民へのビザなし渡航措置でTHAIの日本線は乗客が増えており、旺盛な需要に応えます。

《バンコク発12月3日、仙台発12月4日から有効》
TG681 SDJ1030~BKK1515 水・金・日曜運航
TG680 BKK2330~SDJ0755+1 火・木・土曜運航

(機材はエアバス333 ロイヤルシルククラス=ビジネスクラス36席、エコノミークラス263席)

東日本大震災以後、仙台空港へまったく新規に就航した国際線航空会社はハワイアン航空(HA、アメリカ国籍)に次いで2社目。ASEAN域内への直行路線としても、1990年代に運航されたシンガポール航空(SQ)のチャンギ線以来15年ぶりの復活となります。

東北6県からASEAN域内へ飛ぼうとした場合、これまでは東北新幹線で上野駅に出て京成スカイライナーか、東京駅から成田エクスプレスというのがほぼ常識でした。仙台からアシアナ航空(OZ)で仁川乗継という航空券も販売されていましたが割高でした。今回の直行便就航で、宮城・福島・山形県の各県からは初めてとなるタイへの直行が可能になります。

なお12月からの就航とした理由について、タイ側が父の日(国王誕生日、12月5日)の連休に加え、日本側も例年この時期に行われる『SENDAI光のページェント』の開幕に合わせることで外国人旅行者を呼び込む狙いがあるとみられています。しかしその一方で、THAIが加盟しているスターアライアンス全体としての戦略もバックにあります。他の2つのアライアンスを牽制、中でも大中華圏で強い影響力を持つスカイチームとの対決心が鮮明に見えてきます。

チャイナエアライン(CI)は台北・桃園空港乗り継ぎで日本とタイを結ぶラインを中長距離アジアの動脈と考えていますが、東北地方の都市には就航しておらず、東京まで出なければなりません。中国東方航空(MU)は仙台~上海線を一度は就航決定しながらも尖閣問題で日中関係が悪化したことにより無期限延期とされ、運航開始のメドが立っていません(前記事「中国東方航空の仙台就航、一度は決定も延期に」参照)。広州・新白雲空港をハブにする中国南方航空(CZ)も含め、中華圏内スカイチームメンバーズの機先を制することができれば、タイやその先へのアクセスにおいても優位に立てるという思惑があります。

タイ国際航空では、日本発のPEX航空券『TGスーパーディール』で仙台発着も販売を開始、バンコクまで賞味運賃35,000円(実質支払総額55,500円)、欧州やインド方面行きも設定しました。東京までの新幹線だけで片道1万円、さらに成田エクスプレスの特急料金も乗ってくることを考えると、航空運賃が同じで行けるなら仙台発着が絶対にお得です。仙台朝着でそのまま折り返して午前発とスケジュールも絶好。仙台空港アクセス線と東北新幹線を乗り継げば、成田便でできなかった盛岡・秋田・青森への午前中到着も実現可能です。