2014年10月1日水曜日

中途半端な強行のツケ!都バス終夜運行前倒しで中止へ

東京都交通局自動車部(都営バス、東京都新宿区)は、昨年12月から実施してきた[深夜01]渋谷駅東口~六本木駅間でのバス終夜運行実験を、2カ月前倒しして11月1日(土)限りで終了すると明らかにしました。

都営バスの終夜運行は、任期途中での辞職に追い込まれた前知事・猪瀬直樹の肝いりの政策として、2013年4月に決定され、同年12月から実施されました。しかし、8カ月も準備期間があったにも関わらず、ネットワークを全く考えないで採算の取れる実験対象路線を選ぶことが優先されたため、渋谷駅東口~六本木駅間という区間での折り返し運転、なおかつ週末の金曜日深夜(土曜日未明)だけという、中途半端な形で強引に発車させてしまいます。

弊誌Traveler's Supportasiaでは、猪瀬前知事が運行開始を決定した直後に、

「渋谷~六本木だけでは採算確保はまず無理。六本木~新橋~東京駅八重洲口ルートを早急に実現しなければならない」(前記事「都バス24時間化なら東京駅乗り入れが必要だ」参照)

と書き、さらに

過去に廃止した路線を深夜限定で復活することが検討課題に上る。その実現性も高い、と考えられる」(前記事「深夜01の次を探せ」参照)

とも論じました。しかし、都営バス他路線はもちろん、民間の深夜バスや羽田・成田両空港へ向かうリムジンバス深夜便との接続も一切考慮されませんでした。地元民放テレビのTOKYO MX(東京都千代田区)は、交通局が民間バス各社に協力を要請したものの「良い答えは得られなかった」と報じています。

その上、運行開始と前後して猪瀬前知事が不透明献金問題で辞職に追い込まれ、都庁内は混乱。当初こそ終夜時間帯だけで1日300人近い乗客があったものの、すぐに100人以下と激減、赤字に陥ります。今年5月には、猪瀬氏の後任となった現知事・舛添要一が

「木を見て森を見ず。失敗の典型例だ」

とこき下ろしました。

「他の公共交通機関への波及効果がなく、(都営)バスだけ動いても利用増は困難」(交通局自動車部の担当者が朝日新聞の取材に対してコメント)

となるのは、政策の柔軟性や継続・拡張という観点で見れば、初めから分かり切っていたとも言えます。