2015年6月8日月曜日

「ビザなし1年90日ルール」抜き打ち決行か!?

プラユット軍政当局に代わった後の昨年8月に導入された厳格な出入国規制で、割を食うのはビザなしでの在留が長いASEAN域外からの外こもりすとです。実際に、空港でビザなしでの在留日数をチェックされ、入国拒否や次回からのビザ取得を求められる外国人が相次いでいます。

董事長ふくちゃんは、5月末にドンムアン空港から入国したある日本人の方に話を聞くことができました。この方は昨年、日本の会社に籍を置いてタイ以外の国での活動を長くするようにはしたものの、拠点は今まで通りタイに置いているのである程度のビザなし在留が必要だといいます。ところが、今回タイに戻る際の入国審査で担当官に

「ビザなしでの在留は1年間に90日以内だ。貴殿はこの日数を超えているので次回からはビザが要る」

と言い渡されたとのことです。

これが本当だとすれば、10年前の2006年に行われた「6か月90日ルール」前記事「タイのビザ制度に大きな変更」参照)よりもさらに厳しい規制が実行に移されたということになります。

在タイの日本人フリーライター、高田胤臣さんは昨年9月、日刊SPA!(扶桑社) に寄稿した記事の中で

「年間を通して4回まではビザなしでの出入国が認められる」

という移民庁パークナム現地事務所(サムットプラカン市)担当官の声を伝えています。これだけでも大変厳しいのですが、高田さんが取材した事務所はバンコク近郊県などタイ中部を管轄する3管区(総合事務所はガバメントコンプレックスB棟3階=ラクシー区)に属しており、飛行機での出入国を取り仕切る2管区(ドンムアン区)や、マレーシアとの国境を所管する6管区(ソンクラー市)などとは別の基準があるといいます。空港での出入国がほとんどを占める日本人は、空港から出入国するのであれば、あくまでも2管区総合事務所の裁量基準に従わなければなりません。

高田さんによりますと、年間を通して4回の出入国というのは、片道ごとに1回として計算されるとのこと。つまり、ビザなしで1回入国した人が、空港や陸路国境検問所からそのまま出国すると、2回出入国したことになり、あともう1往復しかできないという計算になってしまいます。

ところが、バンコクで発行されている日本語フリーペーパー『タイ自由ランド』に広告を掲載しているビザ取りツアー業者は、

「空港からのビザなし入国であれば当社の国境日帰りビザランツアーを2回まで利用可能になった」

と記述しています。この通りに利用すれば、

 空港からビザなしで入国(1回)
→ビザランツアーに参加し出入り(往復2回)
→2度目のビザランツアーに参加(往復2回)
→正規ビザ取得のため出国(1回)

の合計6片道まで出入国できることになり、高田さんが取材した担当官の言う年間4回を上回ります。

この業者はバンレム検問所(チャンタブリ県ポーンナムロン郡)を経由して客の出入国をさせていますが、検問所のあるチャンタブリ県はパークナム事務所と同じ3管区に属しています。ツアー業者が現地事務所から便宜の供与を受けた可能性があり、個人で行っても同様の基準で出入国できるかは不透明です。

また、4管区総合事務所(ナコンラチャシマ市)は、メコン川に沿って長い国境線を有するラオスからの不法入国者に対応するため、パスポートを所持するラオス国籍者の入国には特に神経を使っているといい、一部では18歳未満のラオス人が1人でタイに入国しようとした場合、拒否されるという報道もあります。

6管区総合事務所の基準では、陸路入国が多いマレーシアとシンガポールの国籍者のみ、1回につき2泊3日までの在留であれば何回でも出入国ができる模様。ラオスやミャンマーと違い、国境周辺の県のみ移動が可能なボーダーパスではなくパスポートを取る人がほとんどを占めるのが理由です。特にシンガポールは、日常的にマレーシアとの国境通過が行われるので、パスポートがないと話になりません。

担当官と管区によりころころ基準が変わるのでは、自衛するべき我々在タイ外国人も大変です。この男性は、近日中に在ビエンチャンタイ大使館領事部へ初めての正規観光ビザ取得に向かうとのことでした。