2015年7月1日水曜日

本州~北海道間を18きっぷで乗り通せなくなる!!

JR北海道函館支社(北海道函館市)は、2016年3月に予定されている北海道新幹線(新青森~新函館北斗)の開業に合わせ、在来線の海峡線(蟹田~木古内)で実施されている『青春18きっぷ』による特急列車への乗車特例を廃止する意向であることが明らかになりました。朝日新聞が1日付朝刊および電子版で伝えたものです。

青春18きっぷは、津軽海峡線が絡む北海道・東日本(東京都渋谷区、東証1部上場)を含むJR6社の普通・快速列車に乗り放題というのが基本のルールです。ただし、普通列車が運行されていないなど特別な事情のある次の区間については、18きっぷで特急列車への乗車が認められています。

・石勝線(新夕張~新得):1983年の発売開始から。1981年の開業以来一度も普通列車の設定がないため
・宮崎空港線(宮崎~宮崎空港):1996年の営業開始から。JR九州鹿児島支社(鹿児島市)の施策によりこの区間に限り自由席特急料金が無料になっているため
・海峡線(蟹田~木古内):2002年12月から
・奥羽線(青森~新青森):2012年7月から。青森駅で青い森鉄道線に乗り換える乗客の利便を確保するため

このうち、今回は海峡線にかかる特例を廃止しようというものです。

国鉄時代末期に青春18のびのびきっぷの販売が始まった頃は、本州と北海道を結ぶ足は青函連絡船が残っており、普通船室であれば18きっぷで乗船できました。 その後、青函トンネルの完成によって津軽海峡線が営業を始めるにあたっては、連絡船普通船室の直接の代替となる快速『海峡』が用意され、青森と函館の間をフェリーの約半分の2時間前後で結びました。

しかし、快速海峡はマイカーを載せられるフェリーと違って旅客のみの輸送であることから、 開業当初のブームが終息すると乗客は一気に離れ出し、2002年(平成14年)12月のJR東日本のダイヤ改正で特急『スーパー白鳥』に統合され、廃止となってしまいます。これにより海峡線区間では普通・快速列車の運転がなくなったため、同じ北海道の石勝線と同様のルールを適用することにし、木古内駅(北海道木古内町)と蟹田駅(青森県外ヶ浜町)の相互間で乗降が完結することを条件にスーパー白鳥の自由席に乗車できる特例が設けられました。

ですが、青函トンネルは元々新幹線を通すために作られており、在来線旅客列車の運行はいずれ終了する運命になっていました。JR北海道では、新幹線開業後は蟹田で津軽線に接続する海峡線のローカル列車を運転せず、木古内から先の江差線も並行在来線として公的新会社『道南いさりび鉄道』(北海道北斗市)に引き渡す方針にしており、蟹田駅での津軽線と海峡線の乗り換えの役割も終了することになります。これに合わせて、18きっぷの特例も意味がなくなるとして、終了させる方針を固めた模様です。

JRの外郭団体の出版社、交通新聞社(東京都千代田区)が発行している月刊『旅の手帖』では、毎年6月発売の7月号で18きっぷを使った旅の特集を組むのが恒例となっていますが、今年は

「『北国』から『北の大地』へ 特急でイイトコドリの旅」

と題した記事が組まれました。 これについて、朝日新聞では

「旅の手帖はJRの事実上のオフィシャルマガジンであり、この時期にこういう記事を出したということは、JR側も海峡線の特例が今年限りになることを既に意識していると受け取れる」

と報じました。