2015年8月10日月曜日

北朝鮮が独自の標準時に移行!日本・韓国と30分ずれる

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は5日、光復(日本統治からの解放)70年を記念して独自の標準時間を定めるとする政令を出しました。現在は日本・韓国と同じUTC+9時間ですが、8月15日(土)以降はUTC+8.5時間となり、日本・韓国からは30分遅れ、逆に中国・タイなどとの間では時差が30分縮まります。

世界の標準時間は、イギリス・ロンドンのグリニッジを基準の0度線とする協定世界時(UTC)を元に、経度15度ごとに24の時間帯に分かれています。日本は大きな分かれ目の一つである東経135度線が国内(兵庫県)を通過していることから、UTC+9時間を全土で使うようになっています。中国は、中華民国が大陸を実効支配していた時代には5つの標準時間帯に分かれていたものを、現在の中華人民共和国になってから一本化しました。ただし、どの時間帯を使うか、あるいはそれと関係のない独自の時間体系を採用するかは各国の判断に任されているといい、アジアではミャンマー、インド、ネパールなど子午線基準から外れた標準時を運用している国が多数あります。

朝鮮半島は、中国大陸の標準時である中原標準時間の子午線である東経120度線と、日本標準時の135度の中間にあたる、東経127度30分が半島中央部を縦断しており、日本統治以前の旧大韓帝国の時代と、戦後の韓国になってからの一時期、この線を基準にした標準時が実施されていました。

しかし、韓国では

「標準時子午線が自国を通っていない場合は一般的に東側にある(最寄りの)子午線を使うという国際慣例に従って」(鄭俊熙=チョンジュンヒ・統一部報道官)

という理由で、東経127度30分基準の独自標準時を廃止しました。北朝鮮は共和国創建(建国)以来、この慣例に沿って東経135度基準のUTC+9を使い続けてきましたが、今年2015年が戦後70年の節目となるにあたって、

「奸悪(かんあく、=邪悪)な日本帝国主義者共は朝鮮の標準時間まで奪う永遠に容赦できない犯罪行為を敢行した。今こそ民族の受難の歴史に終止符に打つべきだ」(最高人民会議常任委員会声明)

と説明、建国以来初めてとなる標準時の変更を行うことを決定しました。

外国人旅行者への影響としては、平壌・順安空港を発着する航空便の発着時間が現在よりも30分遅い表記になります。外国の航空会社は中国国際航空(CA=CCA 北京市、上海A株・香港H株上場)が北京線を持っているだけで、ハブとしている高麗航空(JS=KOR)便同士の乗り継ぎも現在はまずないので当分は大きな問題にはならないと思われます。

影響が深刻なのは、マスコミと韓国の製造業関係です。海外向けラジオ『朝鮮の声放送』を含むすべての放送が韓国と比べて30分遅くなり、逆に中国以西では30分早くなります。日本が拉致経験者や帰還事業参加者向けに放送している『しおかぜ放送』も、北朝鮮の正時に合わせるのであれば30分ずらさなければなりません。

製造業関係では、開城工業団地(黄海北道開城市)の出退勤時間が遅くなり、南側への製品出荷に支障が生じる恐れがあるとのこと。通信社の聨合ニュースと国際放送のKBS WORLD ラジオ韓国は鄭報道官が

「この状態が定着して将来の統一を迎えた場合、韓国側が追加の統一コストを負わされる可能性がある」

と述べ、懸念を表明したと伝えました。