2016年8月3日水曜日

『ディープな歩き方』堀田夫妻の新聞漫画スタート

バンコクで編集されている月刊『G-DIARY』(アールコスメディア)を最初期から読まれている方であれば、当初の数年間連載されていたマンガ『アジアのハッピーな歩き方』をご覧になったことがあるはず。その作者、堀田あきおさん、かよさん夫妻が、Gダイでの連載完結から約10年を経て、新聞連載漫画をスタートさせました。

創価学会(東京都新宿区)の機関紙、聖教新聞で8月1日からスタートした『ちーちゃん家』がそれです。

元々、堀田さんは小学館(東京都千代田区)の『月刊コロコロコミック』が主催した『藤子不二雄賞』で入選したのをきっかけにプロデビュー。小学館や集英社などいわゆる『一ツ橋グループ』の出版社で単発の学習漫画などを手掛けた後、手塚プロの同期入社だった石坂啓さんが原作を務めた『キャリング』(『ビッグコミックスペリオール』連載)の作画を担当しブレイク。90年代には第三文明社(東京都新宿区)や潮出版社(東京都千代田区)といった創価学会系の版元を中心に活動していました。

『アジアのディープな歩き方』は、潮出版社が発行していた月刊『コミックトム』で連載が始まり、この時の担当編集者がGダイの初代編集長だった杉山博昭さんであると、かよさんが後に明かしています。『ディープ』の主人公、バックパッカーの杉田くんは、杉山さんがモデルだった訳です。

その後、杉山さんは潮出版社を退職。タイに移ってGダイ創刊にかかわり、

「『ディープ』で描けない旅のエピソードをエッセイ風に綴ってくれ」

と依頼して『アジアのハッピーな歩き方』がスタートしました。『ハッピー』は、『ディープ』の取材旅行の過程で生まれた、作者である堀田さん夫妻自身のノンフィクション的要素を兼ね備えた作品だったのです。

その一方で、2001年(平成13年)、『ディープ』を連載していたコミックトムが廃刊になってしまいます。堀田さんは古巣の小学館に掛け合い、大人向けマンガ誌『ビッグコミックオリジナル』で『ディープ』の続編にあたる『インドまで行ってきた』『ネパールに行ってみた』(単行本は旅行人『聖なるインド、はるかなネパール』2009年、1,944円)を発表、シリーズを一応の完結に持ち込みました。

『ハッピー』は、2007年にGダイでの連載が終了し単行本化(キョーハンブックス)された後、2013年に続編『夫婦でインドを旅すると』(旅行人、1,836円)が発行されていますが、2010年代になってからは『不妊治療やめました』『親の介護はじまりました』(いずれもぶんか社『本当にあった笑える話』連載、単行本もぶんか社刊)といった、かよさんの実体験を基にしたどちらかといえばシリアスな作品が注目されていました。

今回の『ちーちゃん家』は、『トム』廃刊以来15年ぶりとなる学会系版元からの仕事で、これまでの堀田さんの作風とは異なる、いわば「新たな分野への挑戦」。前任の芝しってるさん(『あおぞら家族』)との違いをどう出していくか、『ディープ』『ハッピー』で描かれたバックパッカー的要素はいつ出るのか。夫妻の過去の業績を知る在タイ邦人にとっては、今後注目に値するものです。