2017年6月17日土曜日

Scootがタイガーエアを吸収合併!慢性赤字で救済へ

シンガポール航空(SQ=SIA)は、傘下のLCC(格安航空会社)であるタイガーエア(TR=TGW)とScoot(TZ=SCO)を合併させると発表しました。存続会社はScootで、7月25日からタイガーエアのシンガポール発着便はScootのブランド名で運航します。

タイガーエアは2003年に設立、エアバス320を使ってASEAN域内やインドといった比較的近距離の路線を手掛けていました。一方、Scootは2011年設立で当初からSIAの完全子会社。保有機材をB787に統一した世界初の航空会社という触れ込みのもと、エアバス320では航続性能が足りない東北アジアやオーストラリアなどの中長距離路線を得意としました。

同業のAirAsiaグループの場合、大型機による中長距離路線は「AirAsiaX」のブランド名で当初から一体感を持たせていますが、SIAはここまでタイガーエアとScootの2ブランドを併存させてきました。そのために、2015年のバリューアライアンス結成後も相乗効果がなかなか引き出せず、特にタイガーエアは2012年3月期から5期連続の通期赤字に陥っていました(前記事「タイガーエアマンダラ消滅へ」参照)。SIAではタイガーエアグループのうち、既にフィリピン(現・Cebgo/DG=SRQ)をセブパシフィック(5J=CEB)、台湾(IT=TTW)をチャイナエアライン(CI=CAL)に売却、グループから切り離しており、今回、タイガーエア本体をScootに合併させることにしました。シンガポールで編集されている日本語ニュースサイト『AsiaX』

「今回の合併はSIAが事実上、タイガーエアの救済に乗り出した形だ」

と伝えています。

航空運送事業許可(AOC)は設立の古いタイガーエアのものを引き継ぐため、新生Scootは現タイガーエアが使っている「TR=TGW」のレターで運航します。このため、7月25日以降出発の現Scoot便を予約されている方は、e-mailで送られてきた旅程表(eチケット領収書)の「TZ」の部分を「TR」に読み替えることになります。一方、機体の塗装や機内サービスなどは現Scoot基準へ一本化される予定になっています。

《バンコク~シンガポール間の利用者は特に注意を》
合併の結果、バンコク~シンガポール線では機材によって発着する空港が分かれる事態となりました。旧タイガーエアのエアバス320を使用するバンコク止まりの便は、スワンナプーム空港発着。一方、旧ScootのB788を使うバンコク経由の日本発着便は、ドンムアン空港利用となります。どちらか一方へ統一することは当分予定されていませんので、利用する方は旅程表にしっかり目を通して、間違えのないようにしなければなりません。

ちなみに、旧Scootとノックエア(DD=NOK)の合弁によるタイ国籍の子会社『ノックスクート』(XW=NCT)の便は、これまで通りドンムアン空港を発着します。