2017年9月4日月曜日

ブッディン解体!「幻の国」ついに終焉へ

カンボジアの首都・プノンペンの中心街に近いところにあったスラム『ブッディン』が、今年6月から解体工事に入り、9月の時点でほぼ更地になりました。郊外のスワイパーと並ぶ未成年者売春のメッカだったブッディンの解体で、エロ事師らに『幻の国』とまで呼ばれたカンボジア現代史の1ページが完全に終わったと言えます。

ブッディンは正式には『White Building(ホワイトビルディング)』と呼ばれ、第1次シアヌーク王国時代の1963年(昭和38年)、当時最先端の高級コンドミニアムとして建てられました。当初は3棟があったといいますが、ポルポト政権時代の大量虐殺で最初の住人だった富裕層や有識者階層はいなくなり、代わりに流れ込んだ底辺層によってスラム化。そのうち放火が相次ぐなどして奥側の2棟が取り壊され、解体直前まで続く形になったと言われています。

1990年代後半、現カンボジア王国が発足しようやく外国人旅行者に開かれた頃には、ポルポト政権時代の極端な共産政策と内戦による疲弊で、ブッディンの住人はその日の糧のために未成年のうちから売春に手を染めなければならなくなっていました。ブッディンは郊外のスワイパーと共に低年齢買春愛好家の巣窟となり、董事長ふくちゃんが初めてプノンペンを訪れた2005年頃には、1回のセックスの価格がUS$5(約500円)というのもザラでした。スワイパーでの売春壊滅に伴って摘発の矛先がブッディンに向かった2000年代後半には摘発→地下潜行→復活を繰り返すようになり、2010年代にはUS$10前後まで相場が上昇したものの、10年代中頃までこの場所での売買春は細々と続けられていました。

しかし、築50年を経た建物の老朽化はもとより、スラム特有の不衛生な環境などで極めて厳しい状態になっていたブッディンは、中央政府主導での再開発が行われることになりました。国土整備都市化建設省(日本の国土交通省に相当)は昨年、外交ルートを通じて国交省都市局都市政策課とJICA(国際協力機構:東京都千代田区)に再開発計画策定を打診。住人に対しては一定の補償金を支払って立ち退いてもらう方針を固め、5月までにすべての住人がこの地を去りました。

そして6月からブッディンは解体に着手。ふくちゃんが3年ぶりに再訪した9月には、9割方解体が完了し更地になってしまいました。跡地には地上21階建ての高層ビルが建設されることになっているといいます。