2008年4月12日土曜日

激戦ビザ取りツアー、その裏で

 在ビエンチャンタイ大使館領事部でダブルエントリービザが出るようになってからというもの、ビザ取りツアーを仕掛ける旅行代理店同士の戦いが熾烈を極めています。
 「安かろう悪かろう」の競争では、参加する読者に利益はありません。競争の裏側に迫ります。


《フリーペーパー上での熱いバトル》
 タイ自由ランド3月20日号では、在ジョージタウン総領事部(マレーシア)での対応をめぐって、日系の2社が記事広告でバトルを繰り広げました。

(2ページ、アジアビザツアー社記事広告)
> ペナンの領事が交代しました。それに伴い観光ビザ申請に必要な航空券が要らなくなりました

 しかし、紙1枚めくったらこうです。

(4ページ、AJツアー記事広告)

> 前よりも厳しくなっています。申請時3ヶ月以内にタイを出国するエアチケットの提出です

 これではどっちを信用していいのか、董事長ふくちゃんも困ってしまいます。

《他社を誹謗中傷してまで》
 そして、AJツアーは追い討ちをかけてきます。

> 他社のビザ取りツアーでペナンに行った5人が当社に来られました。お話を聞くと
>5人ともビザが発給されませんでした。正規観光ビザでのタイ在留が長期であると
>理由で領事部がビザの発給を断ったそうです

 他社というのは、同じ自由ランド紙上でペナンへのビザツアーを今でも広告している、アジアビザとトンボトラベルを狙い撃ちにしたものとみられています。他社で拒否された事実をダシにして「うちならば絶対に取れます」と甘い言葉を謳い、在ビエンチャン大使館(ラオス)へのツアーに勧誘しようとするのです。
 確かに広告を見ると、ビエンチャンへのツアー料金で2,800Bt.だ、2,600Bt.だという安い値段が並んでいるのです。しかしそれは、領事部に払うビザ料金を除いた純粋なツアー料金で、ダブルエントリービザの料金2,000Bt.は別途払わないといけないのです(前記事「タイ正規ビザ取得のすべて【ビエンチャン大使館編】」参照)

《そしてついに事故が》
 で、AJツアーの広告をよく見ますと

> バンコクからノンカイの国境まで6時間半で到着

とあるのですが、これは相当な無謀運転をしないといけません。バンコクからノンカイまでは約600km。特急バスでも10時間かかる距離です。それを平均時速100km、実際には130~150km均衡で飛ばしまくって、ようやく実現できるほどの無茶です。そうなると事故はつきもの。AJツアー社が使った(実際は便乗した別の会社の)車が事故を起こし、1人が死亡、6人が重傷との情報が入りました。董事会のほうで確認したところ、死亡したのはフィリピン国籍のツアー参加者と判明しました。

 この際、ビザ取りツアー全体に対して、「渡航の是非を検討してください」の安全情報を董事会の独断で出します。
 日本の旅行代理店ならば、「渡航の是非を検討してください」が出たら、即刻ツアー中止です。それだけ深刻なことをやったんですよ。たとえ車の所有者がAJ社でなかったとしても、AJ社が手配した、即ち便乗した会社の車が事故れば一緒です。理解いただけますよね?

 ソンクラーンで15日まで各大使館、領事部が休みになりますが、15日夜以降に出発を検討されている方は、ツアーをキャンセル、自力でのビザ取りも止むを得ません。前記事「ノンカイからラオスへ」を参照して、考えてみてください。