2008年6月4日水曜日

なぜ相談できない? 沈没女性が自決

 3日朝、ディンデン区ラチャダピセーク通りソイ13にある「ポン・アパートメント」の管理人から、非常口で女性が死亡しているとの通報が所管のスティサン警察署に寄せられました。署員が急行したところ、遺体はこのアパートの9階に住んでいた日本国籍の女性と判明しました。
 調べによりますと、女性は昨年12月に来タイし、このアパートを借りて単身で暮らしていました。タイでは仕事に就く気配も、タイ語学校に行く気配もなく、昼間は部屋に引きこもり、夜になってから度々、出かけていく姿が目撃されていたとのことです。
 当初は日本人の彼氏がいたとのことですが、その彼氏は一方的に帰国。その後に出会ったインド人の男性と恋に落ちたのですが、別れた彼氏のことが頭から離れず、インド人の男性にも次第に冷たくあしらわれるようになり、酒と精神安定剤に安寧を求める日々。そして、6月3日未明、彼女は1通の遺書をしたため、自室のベランダから飛び降りたのでした。

 なぜ、彼女は飛び降りを選ばなければならなかったのでしょうか? 月刊Gダイアリー連載「僕が愛した女たち」の谷口狂至さんは「金が尽きた時点でアジアのどこかで自殺する」と書いていましたが、谷口さんと似たようなことを考えて、まさか本当にやるとは。
 最大の原因は、コミュニケーション不足にあると推測します。タイ語も英語もほとんどできないまま、沈没組として長期間、タイで活動するにはそれなりの覚悟が要ります。現時点ではノンイミグラントビザを持っていない沈没組は日本人会からも差別されるような状況(前記事「Bビザ以外に厳しい日本人会」参照)で、日本人会のサークル活動で仲間を広げていくのは無理があります。
 ロングステイ日本人の会(毎月第2水曜日、マッカサン・プリンスホテル)や、ロングステイ日本人クラブ(毎月最終土曜日、トンロー・グランドタワーイン)の例会に出るなどしていれば少しは違うでしょうが、カオサンに来て旅行者に悩みを聞いてもらうという選択はできなかったのでしょうか? 旅人食堂(カオサントラベラーズロッジ1階)や、さくらや(さくらハウス内)、ママズゲストハウスには、旅行者から現地採用、沈没組まで、色々な方が来られます。そこで打ち明けられれば、違った視点から自分を見つめ直すことができたはずです。

 それでもダメならば、タイには日本の「いのちの電話」とまったく同じシステムのボランティア団体、「こころのでんわ」があります。こころのでんわは匿名での相談ができますので、彼女がこれを知っていれば…

こころのでんわ
+66-2392-2680 (日曜~火曜の10:00~16:00)