2009年1月14日水曜日

駐在員の帰任・交代、相次ぐ

 昨年9月のリーマンショック以降、深刻な景気悪化に悩まされるタイ。進出している日系企業も、経費削減を迫られています。タイ人現場職員や日本人現地採用者の解雇だけではなく、ここへ来て聖域とされてきた駐在員にまで手をつける企業が出てきました。

 スクンビットの日本料理店「雑談室」では、宅配弁当の常連だった駐在員世帯が、年末から年始にかけて帰任の挨拶に来るケースが相次ぎました。


 あるベテラン駐在員は、昨年12月下旬に本社から「近いうちに帰任してもらうかもしれない」と打診を受けました。それから年末年始の休みを経て、1月5日(月)に仕事始めのため出勤したところ、帰任が既に決まっていたといいます。
 別のある駐在員は、1月2日(金)が仕事始めでした。いつも通り出勤し、席につくとそこには5日(月)出発の成田行き片道航空券が。本人の知らないところで帰任が決まり、総務は出発までの根回しを済ませてしまっていたのです。慌てて荷物をまとめたのですが挨拶が間に合いません。泰日協会学校(日本人学校)に行っていた子供のお別れ会もロクにできないまま、5日朝の日本航空708便で帰国の途についたそうです。

 日本から妻子を連れてきている駐在員は、給与の中に占める手当ての割合が非常に大きくなっています。家族手当だけで本給とほぼ同額になる人もいるとか。危険手当も本人と家族の分を考慮しないといけません。家はスクンビット周辺の大型コンドミニアムを借りるのが普通なので、1ヶ月50,000Bt.を超える家賃に見合うだけの住居手当も必要。
 そこで、人材の育成も兼ねて、駐在員を若手、それも独身者に交代させようと考える企業が現れるようになりました。

 昨年末、ある読者の方から1通のメールが董事長ふくちゃんに届きました。某メガバンクに勤務されている男性で、4月からの海外転勤を内々に打診されたとのこと。任地としてはバンコクが予定されていて、タイ語の勉強を始めたといいます。
 彼は26歳、今年入行5年目で独身。独身者を駐在員として送り込めば、家族手当は一気にゼロにできます。コンドミニアムを借りるにしても、単身者用の「スタジオ」と呼ばれる、日本で言うところのワンルームタイプを借りればよく、1ヶ月20,000Bt.~30,000Bt.と半分程度。その分、住居手当を減らすことができます。

 日本の年度替りとなる4月には、さらに多くのベテラン駐在員が帰任・交代となりそうな勢いです。