2010年11月8日月曜日

メソットの泰緬国境、戦乱に

 昨日7日に投票が行われたミャンマーの総選挙を巡って、ヤンゴンに最も近いタイ国境メソット(ターク県メソット市)の情勢が悪化しています。国境封鎖から3ヶ月を経て、ミャンマー領内の情勢がなかなか伝わらなくなる中一部では戦乱状態になっているとの報道もあり、警戒を呼びかけています。

 7日朝には、3年前の長井健司氏殉死事件(前記事「バックパッカーはミャンマーから撤収せよ」参照)の時に遺体を引き取ったことで知られる、APF通信社(東京都港区)の山路徹社長が国境のムーイ川を渡し舟で越えようとしてミャンマー側に拘束されました。
 ミャンマー側のカレン州ミャワディ市では、地元の少数民族、カレン族の武装組織が今回の総選挙に反対して武装蜂起し、ミャンマー陸軍の間で本格的な戦闘が行われていると伝えられており、8日には国境にかかる泰緬友好橋に向けてロケット弾が撃ち込まれたとの報道も流れてきています。
 国境からメソット市中心街までは約6km離れていますが、封鎖中の泰緬友好橋に代わる地元の交通手段として山路社長も乗船しようとした渡し舟でミャンマー側住民が次々とタイ入りしており、難民として庇護を求めているといいます。山路社長の会社であるAPFは、タイに入国した地元民が1万人規模に上ると伝えており、タイ側でも、ターク県政庁が国境周辺の住民に対して避難勧告を行ったとのことです。

 外国人のビザクリアは7月に国境が閉鎖された後できなくなっています。スコタイやカンペンペット、ピサヌロークなど北部南方各県に住む外国人や、ラオスから陸路入国した後スコタイ市などで長期滞在して滞在許可の日数が少なくなったバックパッカーは200~300km離れたケンタオ(ルーイ県チェンカン郡)やチェンコン(チェンライ県チェンコン市)のラオス国境まで行かなければならなくなり、多大な迷惑を蒙っています。

 メソット市から80kmほど走ったターク市内を貫く国道1号線は、バンコクから北部北方県(特にチェンマイ、ランパン)方面への特急バスが走る幹線ルートになっていますが、メソット市から各地へは国道105号線経由でターク市に出ないとそこから先のタイ各地へ流れることが事実上できないため、ミャンマー側からバンコクやチェンマイを目指す難民がターク市内にも多数来ています。

 Treveler's Supportasiaでは、メソット市に「退避を勧告します」の安全情報を出します。また、メソット郡以外のターク県全域にも「渡航の延期をお勧めします」を出します。さらに、スリーパゴダパス(カンチャナブリ県サンクラブリ郡)、メーサイ(チェンライ県メーサイ市)や、サパンプラ(ラノーン市)といった他の泰緬国境にも事態が波及する恐れがあり、注意が必要です。