2011年3月18日金曜日

【速報】浦上被告に無期懲役の判決

岐阜地方裁判所(岐阜市)は、棚橋事件の主犯として訴追されていた浦上剛志被告(32歳、大阪府出身)に対し、裁判員制度による評議の結果求刑通り無期懲役とする判決を言い渡しました。国外犯に対する初の裁判員裁判として注目された公判は、共犯とされた森宏年被告(32歳、愛知県出身)に対する先の有罪判決で予想された通りの決着となりました。


森被告に先に有罪判決が言い渡された時点で、浦上被告は圧倒的不利に立たされていました(前記事「森被告に懲役13年!!浦上被告は最低無期か」参照)。森被告に対する判決理由の中で、棚橋事件の首謀者は浦上被告と認定されていたからです。容疑を否認し続けていた浦上被告は、1審で無罪を勝ち得られなければ控訴審、上告審で覆すのはまず不可能。最高裁判所(東京都千代田区)が、裁判員制度適用事件の1審判決は控訴審、上告審においても最大限に尊重されるとの通達を出していたのが理由です。裁判では、限られた証拠と森被告の証言の信用性が争点となりました。

(この項、アンポンタン・ポカンさん/東京都 からの投稿です)
被害者である棚橋さんの知り合い、そして「外こもりのススメ」では共著、担当編集者としてもかかわった手前、判決公判には絶対行かないといけないと思い傍聴してきました。

3月1日の初公判で、浦上被告は起訴事実を全面的に否認。しかし、検察側証人として登場した森被告の証言の前に、浦上被告の嘘で固められた否認は音を立てて崩れていきました。

浦上被告は罪状認否で、「パタヤに行っていた」とアリバイを主張します。その時のことをブログに掲載しようとしたが、ネットの不調で上がらなかったとも述べます。しかし、浦上被告は事件前後、自身のブログにアクセスした記録がなく、下書きをハードディスクに残したとしてもそれに関する記述は見当たらなかったとして、アリバイは成り立たないとしました。

一方、浦上被告が外付けハードディスクドライブに残した日記の中では、「安田作戦」と書かれた文書があり、その中に棚橋事件の犯行計画などが記述されていました。逮捕直前に証拠隠滅を狙って削除したものの、ローレベルフォーマットしなければ完全には消えず、警察側の解析でHDD上に残っていたことが判明します。浦上被告は「森被告に陥れられた」とも主張しますが、周到に記述された計画書は浦上被告本人でなければ書くことはできず、その内容も森被告が自身の裁判員裁判などで行った証言とほぼ一致しているとし、森被告の証言は信用できると認められました。

また、Q&Aサイト「人力検索はてな」に質問された事件関係の内容も、「浦上被告のはてなIDを森被告が勝手に使って書いた」と主張しましたが、浦上被告自身のパソコンからアクセスした形跡が残っており、これも浦上被告自身でなければ書き込めないと認定、浦上被告の主張を退けました。

判決文では、浦上被告が逃亡中、偽造パスポートを使って出国(前記事「浦上被告再逮捕!高飛びに失敗」参照)したカナダでタイ国家警察の幹部と会い、高額の賄賂でタイ人殺し屋の単独犯行をでっち上げ、逮捕されたと嘘の発表をするよう求めて断られたとも指摘されています。これについては、タイ側の捜査で真犯人が逮捕されれば森被告が有罪になっても自分は逃げ切れる、万が一捕まっても必ず無罪を勝ち取れるとみた浦上被告のエゴ丸出しの愚行とバッサリ切り捨てました。

その上で、「初犯とはいえ犯罪にかなり慣れ親しんでいる雰囲気、反省の色がまったく見られない。情状酌量の余地はなく、更生の可能性もかなり低いと言わざるを得ない。余罪を考えても生涯をもって償わせるのが相当と結論付けました。

浦上被告は判決理由の朗読中、「証拠を開示しろ」「俺を無期にしたことを後悔する日が必ず来る」などと意味不明の言葉を連発し、裁判長に制止されること数回。通常30分ほどで終わるとされる裁判員制度下の判決文朗読が、3倍の1時間半かかってしまい、閉廷したのは夕方6時を過ぎていました。