2011年5月26日木曜日

風評被害から立ち直りの兆しが…

 3.11東日本大震災の後、福島第一原発事故が続いたことで日本、特に食に対する信頼は一度地に落ちました。日本からの食材輸入がすべて止まった国もあり、海外での日本料理ブームに水をさす展開となることが心配されています。
 しかし、原発事故から既に2ヶ月近くを経た今、原発の地元の福島県は別としても、西日本の各県で生産された食材については、水産庁や道府県による公的な文書が揃ったところから順次輸出ができるようになっています。

(画像1:これが県庁発行の原産地証明書だ!)


 ジェトロ(日本貿易振興機構)では、日本産農水産物に対する国外での風評被害を払拭させるとともに、在外の食料品関連業界を応援する取り組みをスタートさせています。4月27日には、インターコンチネンタルバンコク(パトゥムワン区)に報道関係者やタイの政財界トップら約200人を集めて説明会を行い、質疑応答だけで2時間近くを費やすほど白熱しました。5月3日には、ソウルでも同様の説明会が開催されています。

 バンコク・スクンビットの日本料理店でも、4月は来客が激減し、業績が前年比で半分以下まで落ち込む店が多数出ました。閉店、廃業に追い込まれた店も確認できただけで2軒あります。それが4月の終わりになり、日本のゴールデンウィークとタイの祝日が重なる時期が訪れるにつれて、徐々に客足が戻り始めました。特に今年は5月1日(日)のメーデー(タイは祝日です)が3連休となり、週末に来店が殺到。普段の週末の1.5倍の売り上げを達成した店もあるという報告が寄せられました。

(画像2:バンコクのある日本料理店で寿司を楽しむイスラエル人旅行者)

 5月29日(日)には、プロンポンの高級デパート「エンポリアム」で、日本から輸入した養殖本マグロを解体し、即売するイベントが行われます。「日本食レストラン海外普及推進機構」(JRO、東京都港区)がまったく動かないとして、地元のレストラン経営者や食材輸入業者が中心となって企画したこのイベント。ジェトロの後援を取り付け、日本から養殖業者のスタッフがタイ入りして解体にあたるなど気合十分で臨みます。利益は全額、在バンコク日本大使館を通じて被災地へ送られる予定となっており、日本料理に目がない上流階層のタイ人や、外国人駐在員の注目を集めそうです。

(画像3:5月29日のイベントの仕掛け人、杉森美仁さんとお店のスタッフ)