2012年6月7日木曜日

区間最安だけど意外な問題!?「奈良アクセスきっぷ」

南海電鉄(大阪市、東証1部上場)は、近畿日本鉄道(大阪市、東証1部上場)と提携して、関西国際空港から奈良県方面へ向かう観光客や旅行者の利便を図るため、乗継割引乗車券「奈良アクセスきっぷ」を発売しました。

設計は既に発売されている「京都アクセスきっぷ」と同じで、乗換駅が難波駅に変わり、近鉄奈良線経由で終点の近鉄奈良駅までの切符となります。片道用と往復用があり、片道用は1,200円、往復は最大2カ月以内の復路使用ができて2,400円です。切符は観光客の流動が多いことを鑑み、南海関西空港駅のみでの発売。ただし近鉄部分の割引率が低く、既にある他の乗車券のほうが安くなることもあります。

《生駒で降りるなら》
例えば、生駒駅(奈良県生駒市)で降りる場合、通常運賃は両社合わせて1,280円。「奈良アクセスきっぷ」片道用と80円しか違いません。「Peach・なんばきっぷ」で難波まで乗り、近鉄部分は現金で払ったとすると、トータル1,190円で、わずか10円の差ではあるもののアクセスきっぷよりも安くなってしまいます。

《近鉄奈良線から他線への乗り継ぎ》

近鉄旅客案内テレホンセンターに確認したところ、生駒駅で近鉄けいはんな線・生駒線、もしくは大和西大寺駅(奈良市)で近鉄京都線・橿原線に乗り換える場合、アクセスきっぷはそれぞれの乗換駅まで有効として取り扱うとのことです。即ち、生駒もしくは西大寺から先の区間について現金かスルッとKANSAIカードで精算しなければなりません。

この時、けいはんな線で新石切方面に向かうのであれば、「関空ちかトクきっぷ」で難波駅から御堂筋線に乗り換え、本町駅(大阪市)に出て、大阪市営地下鉄中央線を経由し、長田駅(大阪府東大阪市)から先の近鉄線部分を精算したほうが安くなります(前記事「大阪地下鉄が片道90円『関空ちかトクきっぷ登場」参照)

《天理教契約運賃という裏技》
奈良県天理市、川西町、三宅町方面に向かわれる方で、天理教の月次祭(毎月26日)に合わせて輸送部販売所(天理駅から徒歩10分)や教区で販売されている割引乗車券(「天理教団参券」)を入手できるならば、奈良アクセスきっぷではなく団参券で天理駅まで来た方が有利です。

天理教は月次祭当日に限り、天理駅発着の近鉄全線が25%割引となる運賃契約をしており、これを使えば天理~大阪難波間は通常670円のところ、なんと500円。Peach・なんばきっぷと組み合わせれば関西空港から1,300円、南海電車が通常運賃でも1,390円で来れます。これに対し、奈良アクセスきっぷでは大和西大寺駅から現金精算となり、1,200円+340円=1,540円かかってしまいます。
ちなみに、奈良発の片道用は設定されていないので、月次祭当日に天理から関空へ向かう方は乗車前に必ず輸送部販売所に立ち寄って難波までの団参券を買ってください。