2012年6月6日水曜日

Scoot対AirAsiaXの真剣勝負、日本でも

Scoot(TZ、シンガポール国籍)は10月からの冬スケジュールで、シンガポール~台北~成田線を就航させる方針を固めました。5日、チャンギ~シドニー線の就航披露の席上でキャンベル・ウイルソンCEOから発表があったと、シンガポールの日本語フリーペーパーAsiaXが報じています。

Scootは、シンガポール航空(SQ=SIA)が100%出資する中・長距離専門の格安航空会社。SIAはタイガーエアウェイズ(TR)にも出資しているものの、タイガーがエアバス320でASEAN域内を中心に展開しているのに対し、ScootはSIAから退役したB772型機を使っているのが大きな違いです。B772ならエアバス320が直行で飛べない長距離区間でも直行できるため、路線政策の自由度が増します。丁度、エアバス320と330を使っているAirAsia(AK)とAirAsiaX(D7)の関係に酷似します。

シンガポールと日本の間には2010年から、ジェットスターアジアエアウェイズ(3K)が台北経由で大阪・関西国際空港への便を飛ばしてきました。今年春にはマニラ経由の大阪便も誕生し、週4便ながらマニラ乗り継ぎで成田国際空港へのルートを組むこともできます。一方でAirAsiaXは5月からクアラルンプール~羽田線を毎日1便運航とし、KL発でマレーシア国内幹線やASEAN域内各国へのネットワークとの充実した接続を武器に搭乗率を伸ばしてきています。

7月からは東南アジアのLCC各社が幹線として凌ぎを削るバンコク~シンガポール線に毎日1便を就航させ、エアバス3202機分という圧倒的な輸送力によるコストダウンで手頃な価格を実現すると共に今までにない搭乗体験を提供することで魅力ある航空会社として上得意客の獲得を目指します。

《7月15日から有効》
TZ301 BKK2000~SIN2315 DAILY
TZ302 SIN1725~BKK1845 DAILY

(機材はB772ER ScootBiz=ビジネスクラス32席、エコノミークラス370席)


その上で、10月から日本線に着手する訳ですが、エアバス320の2機分という大きな輸送力に見合うだけの乗客を日本直行だけで常に獲得できるかは未知数のため、台湾経由とすることにしました。東京線を飛ばすにあたって懸案となる東京での発着空港は、SIAが羽田空港の早朝・深夜便発着割り当て一杯となる毎日2便を既に飛ばしてしまっているため、成田空港が有力とみられます。

シンガポール~台北~東京線には2003年までSIAが飛んでおり、約10年ぶりの復活。しかしLCCではジェットスターとタイガーも台北線を持っているため、これにAirAsiaグループや台湾の本格キャリア3社(チャイナエアライン=CI、エバー航空=BR、復興航空=GE)も加えた大激戦になるのは必至です。