2013年4月22日月曜日

幹線ビジネス客で利益を稼ぐAirAsia

東南アジアでは、主要都市間の移動で格安航空会社(LCC)を使うことがもはや当たり前になりました。中でも、バンコクやシンガポールからは1つの路線に複数のLCCが就航しているケースもあり、激しい競争が繰り広げられています。そんな中、格安航空はどのようにして収益を稼ぎ出しているのでしょうか。

地域最大手のAirAsiaグループ(AK/FD)の場合、数カ月から下手すると1年先というビジネスではまず使えない日程の運賃を賞味タダに近い値段で出す「BIG SALE」(ビッグセール)が年に数回行われます。ここで目減りした売り上げを相殺するには、出発直前に予約するビジネス客を相手にする必要があります。ANA(NH)に以前あった超割や現在の旅割、日本航空(JL)であればスーパー先得による売り上げ減少を普通運賃や上級クラスで埋めているのと一緒です。
特に、AirAsiaグループでは毎日の便数が多いいわゆる幹線でその傾向が強まります。バンコクからの国際線では、シンガポール、クアラルンプール、ペナン、香港。国内線でも、プーケットとチェンマイの各路線は便数が多く、その分ビジネス利用も目立ち直前予約が増える傾向にあります。そういうお客様から高い賞味運賃、そして座席指定料や荷物預かり料といった諸掛を頂くことが、AirAsiaの収益を下支えしています。

例えばバンコク~シンガポールでは、タイガーエアウェイズ(TR)やジェットスターアジアエアウェイズ(3K)ですと数日前や下手すれば前日でも片道2,000Bt.前後の運賃で乗れる便があるのに対し、タイエアアジア(FD)便は直前予約が異常に高く、賞味運賃だけで片道5,000Bt.以上を叩きだす便が多数。最高で6,480Bt.(22,500円)という運賃が出たこともあります。これでは、タイ国際航空(TG)の最も安い運賃とそんなに変わりません。いつもAirAsiaでASEAN域内各地への出張者を送っているタイ国内の会社でも、シンガポール線だけはAirAsiaを避けるというところがあるくらいです。

バンコク~香港線でも片道4,000Bt.を超えるAirAsia便があり、同じタイエアアジアの広州や深圳、マカオといった周辺都市への便に変更したり、中東・アフリカ系本格航空会社の格安運賃を探したりと対応は様々です。

クアラルンプールでAirAsiaX(D7)に乗り換えて日本方面に向かう人ですと、KLから先が安いといっても別々に予約してはいけません。通しでバンコク~KLが異常に高くなった、結局ユナイテッド航空(UA)の成田直行便の方がちょっと高くても便利ということも起こっています。韓国行きでは、ジンエアー(LJ)やティーウェイ航空(TW)、イースター航空(ZE)といった地場LCCの直行便との競争に晒されます。

一方、バンコク~コルカタ線ではビジネスマンの利用もあるものの、バックパッカーの直前予約が比較的多くインド系複数キャリアとの競争もあるためか、片道の賞味運賃が3,000Bt.を上回ることはまずありません。