2013年10月25日金曜日

AMEXトラベラーズチェック、日本での販売終了へ

アメリカン・エキスプレス・インターナショナル(AMEX アメリカ・ニューヨーク、NYSE上場)は、120年以上の歴史を誇ってきたトラベラーズチェック(T/C、旅行小切手)の日本での販売を2014年3月31日限りで取りやめると発表しました。既にVISA、MasterCardなど他の大手クレジットカードブランドはT/Cの販売をやめており、AMEXの販売終了で日本からトラベラーズチェックが事実上消滅します

AMEXのT/Cは、日本アメックス(アメリカンエキスプレス日本支社、東京都杉並区)が本格的にクレジットカードの発行を始めた1980年(昭和55年)以前からありました。本国アメリカでは1891年(明治24年)に初めて発売されたといい、戦後、日本アメックスが業務を再開した1954年(昭和29年)の時点で、米軍関係者が持ち込んだT/Cの換金ができたといわれています。1974年(昭和49年)には、業界に先駆けて円建てT/Cの発行も始まっていました。

しかし、2000年前後に当時の大手都市銀行(旧東京三菱銀行、旧三和銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、新生銀行)が相次いで国際キャッシュカードの取り扱いを始めると、購入時と換金時の2回サインをする必要のあるT/Cは一気に面倒くさい存在となってしまいます。新生以外の3メガバンクでは国際キャッシュカードはそんなには普及せずに撤退へと進んだものの、2000年代後半にはVISA・Masterのデビットカードや新たに登場したプリペイド式外貨両替専用カード(キャッシュパスポート=トラベレックスジャパン、NEO MONEY=クレディセゾンなど)に押され、存在感を失っていきました。

三井住友銀行は2008年11月28日限り、三菱東京UFJ銀行も同年12月30日限りで「US$1,000」トラベラーズチェックの販売を終了(前記事「超高額面トラベラーズチェックが壊滅」参照)。続けて2009年7月、三菱UFJ銀行の一般の支店からT/Cが全面的に消えました(前記事「三菱UFJ、トラベラーズチェック大幅縮小」参照)。取り扱いが外貨両替店所と空港内支店に限定されたT/Cは販売高を大きく減らし、来年1月、三菱UFJがVISAデビット(『三菱東京UFJ-VISAデビットカード』)を導入するのを受けて、日本アメックスはT/Cがもはや時代遅れになったと判断、販売終了に踏み切ることにしたとみられています。

電子掲示板最大手の2ちゃんねるでは、2014年4月以降はAMEXのT/Cが日本では使えなくなるのでそれまでにすべて換金しないとダメだというデマが早くも飛んでいますが、そういうことはありません。日本アメックスも噂を否定するコメントを出しています。

「国内での販売は終了いたしますが、アメリカン・エキスプレス・トラベラーズ・チェックは2014年4月以降も従来通り世界中でご利用いただけます。また、国内でも引き続き換金いただけますのでご安心ください」日本アメックスホームページから引用)

今後は、ATMカードや外貨両替カードを軸にして、どうしてもATMが見つからない辺境地へ行く時の備えやビザ代にかかる必要最低限のドル現金を出発前に用意というのがスマートな資金の持ち方になっていきそうです。