2014年5月13日火曜日

国境での日帰りビザラン全面禁止か!?

移民庁は、今日11日から国境検問所での出入国審査を強化し、外国人が隣接各国への国境から出国した当日中にタイへ再入国することを事実上禁止しました。ASEAN共同体による人とモノの動きの自由化に真っ向から反する政策で、既に多数の欧米人が出入国を拒否され、周辺諸国で立ち往生する事態になっています。

決定によりますと、ビザなしで入国するすべての外国人は、在留期間を延長するためタイを出国して、その日のうちに再入国するいわゆる『ビザラン』ができなくなります。どうしても行う場合は、タイに戻るために正規のビザが必要になります。即ち、他国で発行されて未使用の正規観光ビザ、または2回目の入国をしていないダブルエントリービザを用意するか、リエントリーパーミット取得済みのノンイミグラントビザを持っていない人は、国境で即日折り返すことが原則としてできなくなってしまったという訳です。ただし、実際は各人の出入国記録を基にケースバイケースで判断するとも説明しており、例えば一度タイを出国して周辺諸国を回った後、タイに戻り帰国するという旅程を組んだバックパッカーは、本国に帰国するeチケット領収書を提示することで入国が認められるということもあり得ます。

なぜこのような決定に至ったのか。伏線は、今年2月に起こったマレーシア航空(MH=MAS)370便行方不明事件にありました。

消息を絶ったMH370便には、タイで盗難や偽造されたりしたパスポートを持って搭乗した中東系とみられる複数の男が乗っていました。このため、タイは「犯罪者天国」として悪い意味で改めて見直されてしまい、インラック首相は強い態度で取り締まるという姿勢を見せざるを得なくなりました。まず、3月14日付で韓国などビザなしで90日間の在留が認められている国の国籍者に対して陸路でのビザランが禁じられ(前記事「韓国人の陸路ビザランが不可能になった!?」参照)、今回はそれに次ぐ規制強化だという訳。

メーサイ国境検問所(チェンライ県メーサイ郡)やサパンプラ港(ラノーン市)では、ミャンマーへの1日入国を利用してタイのビザなし渡航を更新するケースが目立ちました。昨年夏にミャンマーの陸路国境が正式に開放された後は、このようなビザランができるのは1冊のパスポートにつき3回までという現地側の判断があるといいますが、メーサイではそれすらもできなくしたとのこと。プーケットから一番近いラノーンでは1回程度なら担当官が目を瞑ってくれることもあるものの、韓国・ラオス・ベトナム・ロシア国籍者は特に厳しい審査が行われ、ビザなしなら通常30日間のところ7日間しか許可されなかったという報告が欧米系の掲示板に書き込まれています。

ロンクルア国境検問所(サケオ県アランヤプラテート郡)では、一部の国からの旅行者に対し所持金またはクレジットカードの確認が行われているといい、ハノイで編集されている日本語ニュースサイト『VIETJO』によりますと、現金20,000Bt.を用意できなかったベトナム人が入国を拒否され、捨て台詞を吐いてカンボジア側に戻ったとのことです。

泰寮第1友好橋(ノンカイ市)でも、ある日本人の方がビエンチャンへ長期ビザの更新に行くため出国しようとしたところ、直前に並んでいたフランス人がビザなしだったらしく、「このまま出国すると次からは空路でしか入国できない」という警告を受けたとFacebookに書き込んでいます。