2014年7月19日土曜日

規制前最後の正規ビザに賭ける!

前記事「ビザラン全面規制まであと1カ月」でも取り上げた通り、8月13日(水)からタイの出入国管理制度が厳しくなる予定です。規制開始前後の在留許可を巡って、移民庁や外務省と外こもりすとの激しい駆け引きが繰り広げられています。

元々、タイが外こもりすとにとって厳しくなりだしたのは2006年以降。タクシン・チナワット元首相が在任末期になって、税収や観光収入に全く貢献しない長期滞在外国人への締め付けを打ち出したのが始まりです。クーデターで後任となったスラユット・チュラノン元首相はタクシン政権時代の政策を見直したものの、外国人に対する締め付けだけは予定通りに実施しました。それから8年、今回もタクシン元首相の妹に当たるインラック・チナワット前首相が道筋を付け、プラユット・チャンオチャ議長率いる平和秩序評議会(NCPO、クーデター当局)が引き継いだ訳です。

弊誌Traveler's Supportasiaの古くからの読者の方なら一度は名前を聞いたことのある、辞書おじさん(兵庫県出身)は今年、傘寿(80歳)を迎えてますますお元気です。先月も、正規観光ビザの書き換えのために在サワンナケットタイ総領事部(ラオス・サワンナケット市)を訪れました。ビザの発給自体はされたものの、担当官は既に発給されたビザの枚数を何度もチェックし、他のスタッフと協議するなどしてようやく受理したといい、

「ツーリストビザを書き換えて在留することにも風当たりが強くなってきた。以前ならこういうことはなかったのだが」

と感想を述べています。

しかし、先週やはりサワンナケットを訪れた別のある日本人男性は、問題なくダブルエントリービザを発給されてタイに戻ってきたといいます。彼の場合は、サワンナケットでのビザ発給経験はこれが初めてで、在ビエンチャンタイ大使館領事部での発給歴も1回しかなかったため、すんなり発給に漕ぎ着けた模様。泰寮第2友好橋国境検問所(ムクダハン市)でも何も聞かれず通過できたと連絡してきました。

結局のところ、担当官の審査内容や各人の個別の状況によってビザ発給がなされるか否かが変わってくるという、前記事でも指摘した状態が続いています。

在ビエンチャン大使館では、前記事「ビザラン規制でビエンチャン大使館が激混み」を掲載した後も本格規制前最後となる正規観光ビザの取得を目指す外国人が連日殺到しています。1日に1,000人を超える申請があることもしばしば。朝一番で到着しないと書類審査の段階で数時間待たされてしまいます。

一方で、ビザなし渡航の更新や正規観光ビザ取得など、いわゆるビザランツアーを主催していた会社にとっては営業の機会を奪われ、致命的な事態です。中でも90日ごとのノービザ更新で済んでいた韓国人を主な対象にしていた会社は、一時的にせよ陸路での出国が禁止された時点で顧客の大半を失うことになりました。

観測筋によりますと、バンコク首都圏で営業していたビザランツアー会社のほとんどが韓国人オーナーだったとといい、韓国人の陸路でのノービザ更新が困難になったため、カンボジアへの陸路ツアーを手掛けていた会社から真っ先に撤退していきました。就労許可を持っていなかった韓国人スタッフも続々と出国し、中にはラオスやベトナムといった他のASEAN諸国へ移動した韓国人のために現地で新たなビザランツアーを起こすケースもあるとのことです。

(画像:ビザランツアー会社が自社所有していたバス。この会社のオーナーも韓国人で既に撤退した)

この観測筋は続けて、

「韓国以外の国からの外国人を対象にしたビザ取りツアーも体力のないところから淘汰されており、現在営業継続中の会社もいつまで続けられるかは保証できない」

とも語っており、早ければ年内中にもビザランツアーが完全壊滅に追い込まれる可能性を示唆しました。