2016年4月25日月曜日

香港へのPHS持ち込みが「違法」になる

香港政庁通信事務管理局(日本の総務省総合通信基盤局に相当)は、PHS(簡易型携帯電話)のサービスを完全に終了させると共に、国外で使用されているPHS関連機械の持ち込みも罰則付きで全面的に禁止すると発表しました。5月10日(火)以降、Y!Mobile(旧ウイルコム)のPHS対応端末をデジタルカメラの代わりに使おうとした場合、厳しい刑事罰を科される可能性があります。

1995年(平成7年)にサービスが始まった日本に続いて、香港では中国返還直前の1997年にPHS(小霊通)が導入され、最盛期には中国大陸と合わせて1億台近いPHS端末が香港で使用できる程になっていました。しかし、2008年に中国移動(北京市、香港H株上場)が独自の次世代規格TD-SCDMAで3Gサービスを開始すると、旧規格化した小霊通は急速に利用者を減らしていきます。

2009年には、大陸の小霊通を運営する中国電信(北京市、香港H株上場)が日本のauと同じCDMA2000 1xのサービスを開始し、小霊通から携帯電話への移行キャンペーンが本格化します。そして香港政庁は大陸に先駆けて2013年5月10日付けで、新規の回線契約受付を終了するとともに、PHS端末の輸入・販売も全面的に禁止とし、既存の契約者についても3年間の猶予期間中に3Gないしは4Gケータイへ移行するよう義務付けました(電信規則106章)

今回、この期間が満了を迎えるため、香港政庁は予定通りに小霊通の周波数を4G(LTEバンド39)に移行させることにし、 ライセンス(日本の無線従事者資格と無線局免許状に相当)免除制度を廃止する決定をしました。周波数の割り当てがなくなるので、PHS端末は今後日本で言うところの違法CB・パーソナル無線機と同様に扱われ、それを使って電波を出すこと自体が違法になるという様にお考えいただければ、ご理解いただけるはずです。

実際に、大陸の小霊通端末を香港に持ち込みデジタルコードレスホンとして使おうとする利用者が絶えないため、香港政庁では猶予期間満了後に小霊通端末を所持していただけで、2年以下の懲役または5万香港ドル(約70万円)以下の罰金という厳しい罰則を設けることにしました。今後、中国電信と中国聯通(北京市、香港H株上場)でも残っている小霊通ユーザーの4G(TD-LTE)移行がさらに強力に推し進められます。

なお日本ではソフトバンク(旧ソフトバンクモバイル、東京都港区)の『Y!Mobile』以外に事業者がなく、新機種も殆ど発売されなくなったので大きな影響はありませんが、Y!Mobileで昨年9月まで販売されていた『AQUOS PHONE es WX04SH』を現在も使われている方は要注意です。この機種は3GとPHSの2種類の電波に対応しているため、持ち込み禁止の対象になってしまいます(後記事「Y!Mobileの『3年縛りにやられた!1年残して解約」参照)