2016年6月10日金曜日

日本人に人気のMP・ナタリーが摘発!閉店へ

首都圏警察本部(ドゥシット区)は7日夜、MRTブルーラインホイクワン駅そばのマッサージパーラー『ナタリー』(ディンデン区)を強制捜査し、出勤していた女性やスタッフら約120人全員を逮捕しました。ミャンマーやカンボジアなどからの外国人が多数、風俗業種への就職ができない18歳未満の女性が7人いたといい、このうち外国人については移民庁収容センター(サトーン区)へ移送して強制送還手続きが取られます。

ナタリーは1990年代からある老舗のマッサージパーラー(日本のソープランドに相当)で、2000年代前半に日本人向け風俗情報サイトで紹介されたのを機に人気が爆発しました。『地球の遊び方』『外道の細道など有力サイトには、「ナタリーの何番の姫と遊んで凄く良かった」「何番の娘は性格悪くてダメ」などといった投稿が日々寄せられ、来店しようとする日本人客への貴重なアドバイスとして重宝されていました。

その一方で、経営陣はこの手の店には当たり前とも言える公安や行政・司法関係者へのワイロを連発しやりたい放題にやっていた一面もありました。今回、押収された会計帳簿には、所轄のホイクワン警察署(ディンデン区)だけでなく、首都圏警察本部や移民庁北部出稼ぎ労働者ビザセンター(ワントンラン区)、首都圏政庁(プラナコン区)の中位クラスの人物にも金が渡っていたとされる記録が残っているといわれています。

風俗業種はタイ国内で生まれたタイ人しかオーナーになることができず、従業員も生まれながらのタイ国民しか雇用できないことになっていますが、ナタリーでは特に2000年代後半以降、ミャンマーやラオス、カンボジアといった周辺諸国出身の外国人やバンコク首都圏内への移動ができない北部北方県在住の少数民族出身の女性を多数雇用し、最大の顧客層である日本人旅行客にWebサイトないし口コミで広めてもらうという方法で売り上げを伸ばしていました。過去には一部の店で「子供部屋」と通称される未成年の姫を隔離した別室が用意されているところもありましたが、ナタリーでは

「サイドラインの隅っこの照明が当たりにくい部分にそのような姫を集中させていた、マニアには仕草や見た目ですぐわかる

と投稿サイトに書き込まれていました。

これに対し、欧米系NGOから指摘を受けた首相府が内務省地方行政局(プラナコン区)に指示して調査を行った結果、容疑が固まったとして強制捜査に踏み切ったと発表されています。今回の立ち入りではホイクワン警察署関係者は外され、首都圏警察本部と国家警察(パトゥムワン区)の最高幹部クラス、陸軍司令部(ラクシー区)の上官らが参加していたとタイ国内メディアでは報道されていますが、実際はUDD軍(タクシン・チナワット元首相派)の資金源を潰すためにプラユット・チャンオチャ首相率いる暫定軍政当局が仕掛けた政略ではないかという見方もなされています。

しかし、姫の大半がタイ人ではなかったということに加え、仕切られた子供部屋ならまだしも隅っことはいえサイドラインに未成年の姫を出させていたという事実が明らかになったことで、数ヶ月ないし数年後にほとぼりが冷めたとしてもナタリーの営業再開は不可能ではないかとする見方が早くもなされています。東京で発行されている雑誌『アジアン王国』(ミリオン出版)のブルーレット奥岳編集長はFacebookを更新し

「(ナタリーは)警察関係者とズブズブな関係だったのでこれまでであれば絶対摘発されるような事はなかった。警察に守られているって事で未成年も働かせるわ、外国人女性もバンバン入れるわ(逮捕された泡姫の90%が外国人だったそうです)、もーやりたい放題だったワケです。軍(関係者)経営の店は兎も角それ以外がバックの店は今回の摘発劇を見て戦々恐々としているのではないでしょうか。タイのナイトスポットがこうした摘発をキッカケに萎縮しないか凄く心配ですね」

と論評しています。

《6月16日追加》
MRTホイクワン駅周辺には、ナタリー以外にも複数のマッサージパーラーがありますが、これらは平常通り営業を続けています。このことからも、ナタリー1店だけが狙い撃ちで摘発されたことがお分かりいただけるかと思います。

(画像2:ナタリーの隣店『メルシー』は平常通り営業中)