2017年12月17日日曜日

バニラエア、ホーチミンシティから撤退へ

バニラエア(JW=VNL、千葉県成田市)は、2016年冬スケジュールで就航した台北桃園~ホーチミンシティ線の運航を、現在有効の今冬スケジュール限りで取りやめます。就航からわずか1年半でベトナム路線自体撤退する形。同じ持株会社傘下のANA(NH、東京都港区)が運航する直行便を補完するには、時期尚早すぎたかもしれません。

(台北発2018年3月23日、ホーチミンシティ発3月24日の運航をもって取りやめ)
JW105 TPE2200~SGN0100+1 DAILY
JW102 SGN0215~TPE0630 DAILY

(機材はエアバス320ceo 普通席=エコノミークラスのみ180席)

バニラエアの台北~ホーチミン線は、毎日4往復運航している成田~台北桃園線のうち、1便を以遠権行使で延長する形を取りました。成田発は夕方に毎日2便運航されているANA直行便の間に挟み込む形としましたが、この形態には、親会社ANAホールディングス(東京都港区、東証1部上場)による「隠された狙い」が込められていました。

LCCとしての新規需要開拓はもちろんのこと、ANA直行便が満席になった際もベトナム行きを希望する新規客をバニラエアへ流すことができる。逆に、バニラエアではANAマイレージクラブ(AMC)特典航空券の発券ができることから、特典航空券での訪越を希望するAMC会員にバニラエアを利用してもらい、空いたANA便の座席を『エコ割』『ビジ割』などの有償航空券で販売し収益性を高める。ANAホールディングスは、バニラエアとANAの相互補完的な役割を期待していたのです。

一方で、台湾発のLCCとしてはタイガーエア台湾(IT=TTW、桃園市大園区)が合弁相手のチャイナエアライン(CI=CAL 桃園市大園区、台湾証取上場)に引き取られ、V Air(ZV=VAX、台北市)に至っては親会社のトランスアジア航空(GE=TNA、台北市)もろとも倒産という憂き目になっていました。台北~ホーチミン線には既にベトジェットエア(VJ=VJA、ハノイ)が就航しているにもかかわらず、ANAHDでは

「台湾系LCCが飛んでいないなら勝算はある」

と見て、バニラエアの規模拡大に弾みを付けさせる意味も含め半ば見切り発車したという一面もありました。

しかし、就航から1年以上経ってもLCCとしての採算を取れる最低ラインである搭乗率80%をコンスタントに達成できる見通しが立たなかったとみられ、ANAHDはベトナム航空(VN=HVN)とのコードシェアも合わせたANAグループ全体として日越間の座席数が供給過剰と判断。ホーチミンシティ路線をANAの1ブランドのみに戻す方針を決めました。