2018年2月1日木曜日

ソニーのワールドバンドラジオが消滅!最後の1機種も在庫限り

ソニー(東京都港区、東証1部上場)が創業直後から60年以上に渡って手掛けてきたワールドバンドレシーバー(海外短波放送対応ラジオ)の歴史に、事実上の終止符が打たれました。現在配布中の2018年春号カタログで2機種残っていたうちの1機種が生産完了と発表され、最後まで残った1機種も2月にWebでの直販を終了。今後はラジオNIKKEI(日経ラジオ社:東京都港区)専用の2機種だけが、細々と販売されることになります。

生産を終了したのは、2000年(平成12年)から販売されていた『ICF-SW35』と、2001年(平成13年)に発売された『ICF-SW7600GR』。両機種の製造を担当していた協力会社の十和田オーディオ(秋田県小坂町)が、2017年12月で生産を打ち切るとソニーに通告してきました。

ソニーの海外放送対応ラジオは、1960年代中頃の『ソリッドステート11』(TFM-110)や、1970年代中頃にBCLブームを巻き起こした『スカイセンサー5900』(ICF-5900)、1980年(昭和55年)発売の周波数を直接入力できるシンセサイザーチューナーを初めて搭載した『ボイスオブジャパン』(ICF-2001)など、個性的な歴史を積み重ねてきました。1983年(昭和58年)発売の『ニュースポート』(ICF-7600D)以降はB6判サイズの筐体にシンセサイザーチューナーを組み合わせた製品が海外放送用短波ラジオの主力となり、董事長ふくちゃんも1990年(平成2年)発売の『ICF-SW7600』を長年愛用していました。

ICF-SW35は、1992年(平成4年)に発売された『ICF-SW33』の後継機種で、ICF-SW33と違って放送バンド外も含めた短波帯の連続受信が可能になり、周波数のテンキー入力が可能なSW7600シリーズと比べて操作が簡単ということを売りにして、ここまで支持されてきました。しかし、中国メーカーからSW7600シリーズと同等の機種が安く販売されるようになり、2010年以降は短波帯国際放送の衰退に加えて、欧州圏では長波・中波の大電力局が次々と放送を止めたこともあって売り上げが減少。今回、カタログアウトすることになったものです。

この時点で残るワールドバンドレシーバーは、同じく十和田オーディオで製造されていた『ICF-SW7600GR』だけになりましたが、これも発売から既に17年を経ており、いつまで販売されるか、あるいは後継機種があるかという保証はありませんでした。

そしてそのICF-SW7600GRも2月9日(金)付で直販サイト『ソニーストアオンライン』での販売を終了。量販店や免税店などにある市中在庫が捌けた時点で、ソニーブランドのワールドバンドレシーバーは市場から消えることになりました。