2018年7月18日水曜日

Peachがエアバス321採用!関空・成田からの東南アジア便も可能に

Peach Aviation(MM=APJ、大阪府田尻町)は現在使っているエアバス320ceoの後継機種として、同じエアバス社製のA321neoをベースにした長距離飛行対応版『A321LR』を購入することにし、イギリスで開催中の国際見本市『ファンボローエアショー』会場で発表しました。
Peachは、先に発表したバニラエア(JW=VNL、千葉県成田市)の吸収統合が実行される2020年夏ダイヤをメドとして、片道の飛行時間が4時間を超える中距離路線に参入する意向を既に表明しています。今回採用を決めたエアバス321LRは、テスト飛行では満席状態を想定した最大11時間もの無着陸飛行に耐えた実績を持っており、那覇空港(沖縄県那覇市)発着でバンコク(スワンナプーム)が事実上の限界となっているPeachの路線網を、もう1段ブラッシュアップすることが可能になります。

A321LRのベースとなったA321neoでも、Peachのスーパーハブの関西国際空港と、現バニラエアのスーパーハブの成田空港のどちらからも、バンコクやシンガポールへの直行便を飛ばすことができますが、インドネシアのジャカルタやデンパサール、ミャンマーのヤンゴン、オーストラリアのケアンズでは航続性能がギリギリになってしまいます。A321LRを使えば、性能面で余裕をもってこれら都市への直行便を展開することが可能。「リゾート中心のLCC」を掲げたバニラエアの方針を受け継ぎ、深化させられます。

また、この分野で先行したジンエアー(LJ=JNA)にない運航コスト面のアドバンテージを得ることができます。ジンエアーは親会社の大韓航空(KE=KAL)の払い下げとはいえ大型機のB772ERを持っていますが、A321LRとA320ceo・neoは同じエアバス320ファミリーで運航乗務員の操縦資格も共通な上、Peach・バニラエアの両社ともにエアバス320ファミリーのみを選定していることから、機材政策の継続性、効率性という意味でA321LRが事実上ベストの選択であったと言えるのです。この点は、東京で編集されている『東洋経済オンライン』も書いており、

「ボーイング(アメリカ・シカゴ、NYSE上場)のライバル機種B739MAXの航続性能を鑑みてもPeachの中距離用機材はA321LR一択だ」

と結論付けています。

同じく東京で編集されている業界専門サイト『Aviation Wire』は、前回のファンボローエアショー後に結んだエアバス320neoの購入契約のうち、まず2機分をA321LRに変更したと報じました。この2機は2020年10月から納機予定とされています。他にPeachとバニラエアが持っている合わせて35機のエアバス320ceoが2019年以降、リース期間の満了に伴い順次更新となるため、追加発注される可能性が高いとTraveler's Supportasiaは分析します。追加発注が行われれば、片道4時間ギリギリの線上にある那覇~バンコク線と、現バニラエアの成田~セブ(フィリピン)線は真っ先に機材入れ替えの対象になると予想されます。