2018年9月13日木曜日

世界最長距離のLCC直行便、廃止へ

ノルウェーエアシャトル(DY=NAX ノルウェー・オスロ、OBX上場)のグループ会社でイギリスを拠点とするノルウェイエアUK(DI=NRS、ロンドン)は、2地点間を結ぶLCCのフライトとして世界最長距離を誇っているロンドン(ガトウィック)~シンガポール(チャンギ)線を、この年末年始をもって打ち切る方針を固めました。Facebookページ『World Airline News』が報じたものです。

《ロンドン発2019年1月10日、シンガポール発1月11日のフライトをもって取りやめ》
DI7407 LGW1050~SIN0730+1 月・木曜運航
DI7408 SIN0930~LGW1540 火・金曜運航

(機材はB789 ビジネスクラス35席、エコノミークラス309席)

欧州と東南アジアを結ぶフライトは片道10時間以上かかり、長い間本格航空会社(FSC)が最新鋭のフラッグシップを投入する路線とされてきました。現在、チャンギ~ロンドン(ヒースロー)間ではシンガポール航空(SQ=SIA)、ブリティッシュエアウェイズ(BA=BAW)、カンタス航空(QF=QFA)がエアバス380で競い合っています。バンコクやKLIAからのヒースロー直行便もB773ERないしはエアバス359が使われ、一方でエミレーツ航空(EK=UAE)をはじめとする中東経由便の輸送力も1990年代以前とは比べ物にならないくらい増強されて、激しい価格競争が繰り広げられています。

AirAsiaX(D7=XAX クアラルンプール、マレーシア証取上場)も2009年から12年までKLIA~ガトウィック間で運航したものの、路線収益が赤字になって撤退に追い込まれ、その後復活の噂が何度も俎上に上がっては消えての繰り返しになっています。この間にトニー・フェルナンデスCEOがフランスの新聞のインタビューに応じた際、タイエアアジアX(XJ=TAX)担当でバンコク(ドンムアン)~ガトウィック線の可能性に言及したと一部で伝えられましたが、結局立ち消えとなってしまいました。最近ではScoot(TR=TGW)がチャンギ~アテネ(ギリシャ)線を開設しましたが、これは元々親会社のSIAが運航していたのを引き継いだものです。

そんな中、ノルウェイジャンは17年9月からガトウィック~チャンギ間に週4便で就航しました。同社にとってはアジアへの初進出で、なおかつLCCが運航する2地点間の直行便としては世界最長距離ということが最大の売りでした。しかし、ノルウェイジャンのネットワークは欧州圏内と、欧州~北米大陸間のいわゆる大西洋横断路線がメインで、営業も欧州圏内に偏重。東南アジアでの営業は全くと言っていいほど浸透せず、シンガポールから先の東南・東北アジアを運航するScootやジェットスターアジア(3K=JSA)との交流もうまくいきませんでした。

また、ノルウェイジャンは今年4月、BAの持株会社インターナショナルエアラインズグループ(IAG、ロンドン)から出資を受けたこともあり、BAはもちろん同じワンワールドに加盟するカンタスとも利害関係になってしまいました。

加えて燃油コストも上昇気味で、日本の航空専門サイト『Flyteam』によると10月28日からの冬ダイヤで現行の週4便が半分の週2便に減るとのデータが既に掲載済み。そして年末年始の多客期が終わる1月11日を最後に撤退する方向性を固めたと今回伝えられています。ノルウェイジャンは都合1年4カ月で、シンガポールはもちろん東南アジアからも撤退することになります。