2007年12月6日木曜日

薬草スチーム・サウナ

(文・写真:副董事長fortunesawada)
 ラオスには、“薬草スチーム・サウナ”というのがある。ビエンチャンには、既に何軒かはあるが、ビエンチャンだけではなく,旅行者が訪れる町や村にも出来て来たそうだ。最近は、ラオスへ行く度に,“薬草スチーム・サウナ”は楽しみになってしまった。
 朝、行くと、“未だ始まっていないよ,昼からだよ。”と言われるが、お茶でも呼ばれながら、のんびり待っている内に、釜に火が入り、少しずつ薬草の、何とも言えぬ“渋みのある芳香”が,辺りに浸透し始める。良い香りである。何か,効きそうな気がしてくる。大雑把に割られた廃材が、ぱちぱちいいながら、火はメラメラと良く燃え上がってくる。そのうち,ゴーッという火炎の咆哮が聴こえる様になってくる。火の勢いが、佳境に入って来たのだ。


 無論、日本にいて想像する様な,近代的な、ハイテクのサウナではない。もっと原始的で,だが、中々風情のあるサウナだ。チベット族やアメリカ・インディアンのスウェット・ロッジの様なものだ。実際には,サウナそのものは小さな小屋となっているが、体を、備え付けの小さなプールの水で洗ったり、火照った体を冷やしてノンビリするには、野外という事もあって、それなりの楽しみも大きい様な気がする。アルコールはさすがにないが,お茶やジュースや缶コーヒー、アイスクリームなら頂ける。勿論、テレビも雑誌も映画も何も無い。BGMにタイやラオスやアメリカン・ポップスが、程よい音量で流れている。これでいいんだよ。

 子供の頃,良く風呂を焚いていた事を思い出す。風呂炊きは,私の得意技の一つで、新聞紙、そして細い枝から、だんだんと太い廃材に火を移行させる。風の通りを下から上へと上手く配慮して、空気の流れを煙突に向けて流してやると,火は良く燃え上がって、安定してくる。道理と言うか、コツが判ると,ますます面白くなってくる。子供ながらに,自分は、火をおこす“名人”だと自負していた。庭の掃除も最後には,落ち葉を集めて焚き火にする。
 芋や栗を焚き火に放り込んで待っているのも中々の楽しみであった。今では中々出来なくなってしまったが、それは、子供の頃の楽しみであった。

 火入れが順調に進み始めると、置き火を利用して、昼ご飯の支度が同時進行している。この店の、従業員の食亊らしい。スープと焼き魚のようだ。
 小一時間もすると、地元のラオスの人,タイやフランスの人を始めとする旅行者達,日本人も含めて、三々五々と集まってくる。美容にいいのだろうか,女性客の方が多い事もある。サウナのロッジは二つあって、男女、別々だが、中庭は,共通のスペースとなっている。
タオルを、胸や腰に巻いてのことだが、まあ、混浴に近い。

 “もういいよー”と声がかかる。既に,ロッジの中は、熱い、薬草の蒸気でムンムンになっている。明かりが無いので,ドアを開けた時,外の明るさをたよりに,自分の居場所を確かめておく。入って暫くするうちに、だんだんと眼が慣れてくる。
 所謂,北欧式のサウナというよりは,薬草と蒸気を使った”蒸し風呂“である。深呼吸すると,薬草効果が,体中の隅々まで浸透する。初めて入った時,“これはいいなー”と思った。肺や内蔵の隅々まで薬草効果が浸透する。体の中の老廃物が,どんどん溢れる様に出てくる。水銀なんかも溜まっているかもねえ。

 5分か,10分も入っていると,全身が飽和状態にまでなってくる。外に出て,水をかぶり,一服すると,人心地がついてくる。それを、5回から10回も繰り返すと,出来上がり、となる。後は,マンゴー・シェイクでも頂き、軽く食事して,寝るだけ。

 その所為だけでもないだろうが,タイやラオスの人は,暑い昼過ぎから,夕方まで寝ている事が多い。地中海沿岸に似ているね。午前中と,夕方から活動が始まるのだ。