2009年5月6日水曜日

「自由採食」が成り立たないなら外に出ろ!?

 5月6日の朝日新聞朝刊1面トップの記事。これは、「ホームレスでも楽に暮らせる日本」という、ひとつの時代の終わりを告げる記事かもしれません。

「コンビニ店主『見切り販売』の動き 販売期限前に値引き」

 日本の大手コンビニチェーンでは、弁当や調理パン、惣菜などの日配品をセントラルキッチンと呼ばれる工場で生産して各店舗に供給し、消費期限まで定価販売させて、期限が来たものは店舗の責任で生ゴミに捨てるのが普通です。総合スーパーやデパ地下では閉店時間前の安売りとして、消費期限の迫った商品を最高半額まで値引いてでも売り切る商慣行が確立されていますが、コンビニではチェーン本部の指示であまり行われてきませんでした。

(画像1:駅前に段ボール箱を置いて寝泊りするホームレス。東京・品川駅にて)

 大都市の駅周辺にあるコンビニには、消費期限切れの日配品が出てくるのを待っているホームレスが各駅に最低1人はいて、1日の食事すべてを廃棄された弁当に依存する人もいます。しかし、これまでゴミに出されていたものを消費期限直前に値引きして販売してしまうと、ゴミに出される量は当然減ります。1日の売上金こそ5%のマイナスになったものの廃棄物処理コストが削減され、結果的に3割以上の増益を達成した店もあります。
 経済産業省によりますと、廃棄物処理されてしまう品物だけで販売価格に換算して年間1,000億円以上の機会損失という計算もあり、これまでならホームレスはそれに群がればなんとか食いつないでいけました。作家・山田風太郎氏は「あと千回の晩飯」(朝日文庫)の中で

「いまの日本には『乞食』はいない。新宿駅のホームレスも見てきたが、あれは由採食者である」

と述べたほどです。

(画像2:段ボール箱も用意できず、毛布をかぶって寒さを凌ぐホームレス。横浜駅西口にて)


 ところが、公正取引委員会はチェーン本部の指導を独占禁止法違反(不公正慣行の強制)だとし、最も多くのフランチャイズ店を抱えるセブンイレブンを標的にして調査を始めてきます。大都市圏の一部の店では見切り販売を始めるところが既に出ており、特に生鮮野菜を扱う「SHOP99」「ローソンストア100」では活発に行われています。もしセブンイレブンに排除勧告が出され、他のチェーンも含めた全国のすべての店が消費期限切れの近い日配品を値引きして完売するようなことになれば、ゴミに回る日配品は激減し、ホームレスの食い扶持がつながらないという事態になります。

(画像3:SHOP99の東京都内の店舗)

 働かざる者食う(買う)べからず、といえばそれまでですが、階層間の格差の広がりが進行しつつある日本では、食べていけないどころか生きていけない人も出ておかしくありません。日本に「乞食」はいない、でも「自由採食」はもう成り立たないというのなら、数万円でもいいから旅費を作って、海外に出て行くしか方法はありません。

(画像4:消費期限切れ当日、105円から55円に値下げされた菓子パン)

 バンコクでは、現地在留の日本人が持ち込んだ資産を失ってホームレスになったり、ニセ坊主に手を出して逮捕、強制送還を食らう例があるといいます。永遠名誉董事長・下川裕治も「日本を降りる若者たち」(現代新書、756円。前記事「下川裕治の最新作『日本を下りる若者たち』」参照)の中で触れており、月刊Gダイヤリー(アールコスメディア)はタイでホームレス生活を続ける日本人を2度に渡って取材しています。

 最近は、住民票さえ入れることができれば、パスポートを手にできます(前記事「パスポート申請時のはがきが不要に」参照)。あとは、自分で考えてみてください。