2014年8月19日火曜日

スクンビットの違法屋台バー、一掃へ

ルンピニ警察署(パトゥムワン区)は、所轄地域内で違法に営業している屋台や露店に対する取り締まりを強化しています。中でも、管下有数の歓楽街であるBTSスクンビット線ナナ駅周辺(ワッタナ区)で深夜に営業していた屋台形式のバーが非常に厳しい取り締まりを受け、事実上壊滅しています。

ナナ駅周辺では、夕方から夜の早い時間にかけて観光客目当ての土産物を売る露店が多数出ます。これら露店は23時前後に閉店し、それ以降は別の店主が朝までバーを営むという状況が以前から行われていました。2000年代に入り、タクシン政権下で酒類の販売禁止時間が設けられた後も、これら屋台はルンピニ警察署や地元のワッタナ区役所に巨額の賄賂を払い、営業を黙認されてきました。

しかし、今年5月のクーデターで実権を握ったプラユット・チャンオチャ平和秩序評議会(NCPO)議長は、公務員の金権腐敗を徹底的に撲滅すると宣言。数々の改革に乗り出しており、ルンピニ警察署が方針を変更したのも、NCPOとプラユット議長の意向に基づくものです。

(画像1:屋台バーが一掃されたBTSナナ駅前)

担当の警察官や地元住民によりますと、表向きは酒類販売禁止時間を厳格に守らせることが狙いとされていますが、実際は、表には出てこないもう一つの理由があります。それは、これら屋台バーを根城に売春や麻薬密売を行っていたアフリカ大陸からの不法滞在者を一掃するというものです。

アフリカ出身者に対しては、これまでも在ビエンチャンタイ大使館(ラオス)などタイ周辺諸国での正規観光ビザ発給を認めなかったり(前記事「黒人は本国に帰って取れ」参照)、正規観光ビザ自体の在留許可期間を30日間に短縮するといった措置がなされてきましたが、在留資格を偽ったり、偽造パスポートで60日間の在留と周辺諸国でのビザ更新が許される欧州出身者を装うなどの逃げ道があり、決定的な策は取れていませんでした。

(画像2:クーデター以前のナナ駅前で売春の持ちかけをするアフリカ出身の女性)

しかし、今年2月のマレーシア航空(MH=MAS)370便消息不明事件の犯人がタイ国内で入手した偽造パスポートを使っていたと報じられたことをきっかけにタイ政府の態度が変化しました(前記事「国境での日帰りビザラン全面禁止か」参照)。既に入国している外国人についても取り締まりが強化されているといいます。実際、ナナ周辺でパスポート不携帯で摘発された後、ルンピニ警察署から移民庁に照会してオーバーステイが発覚、収容センター(サトーン区)に送られるアフリカ出身者が増えているとのことです。

取り締まりが強化された後、スクンビット通りソイ5の入口にあるマクドナルドは朝まで多くの外国人で賑わうようになったといい、店を構えて営業する事業者の権利を守るという目的は一応達成されている模様です。