2016年2月1日月曜日

商業誌版an全滅!無料版も壊滅の危機

テンプホールディングス(東京都渋谷区、東証1部上場)と子会社のインテリジェンス(東京都千代田区)は、旧社名『学生援護会』の時代から60年に渡って発行を続けてきた求人情報専門誌an weekly』(旧日刊アルバイトニュース)の発行を大幅に縮小しました。東京首都圏では紙媒体の発行を取りやめてインターネットに集約し、最後まで有料の商業雑誌が残っていた福岡県でもフリーペーパーへ一本化。日刊『アルバイトニュース速報』以来48年に及んだ商業誌としてのanの歴史に終止符が打たれました。

anの源流といえる『学生タイムズ』は、1958年(昭和33年)に創刊。1967年(昭和42年)、日刊アルバイトニュース速報と改題、しばらく経って速報の文字が外れ『日刊アルバイトニュース』として定着。日本リクルートセンター(現・リクルートホールディングス 東京都千代田区、東証1部上場)が『FromA』でアルバイト求人分野に参入するまでは日本最大の短期・短時間労働専門メディアとして全盛を極めました。バブル期まではリクルート(『Bing』『とらばーゆ』『リクルートブック』)が正社員、学生援護会はアルバイトをそれぞれ主軸に置くという棲み分けができていました。しかし、バブル絶頂の頃に学生援護会が『DODA(デューダ。旧名週刊求人タイムス)』『Salida』で正社員募集に参入すると、リクルートはブルーカラー職種専門の『ガテン』を創刊するなど対抗して垣根が崩れます。その結果、日刊アルバイトニュース改め『デイリーan』は1994年(平成6年)に平日週5回発行を取りやめました。

その後は週2回(毎週月曜日と木曜日発売)が長く続き、2000年代後半になって木曜日発売分を地域ごとに細分化した上でフリーペーパー『anエリア』に切り替えるなどしましたが、リクルートが商業雑誌での求人情報提供に早々と見切りをつけたのに対し、インテリジェンスは最近まで商業雑誌形態を何とかして残そうとしていました。ホームページ『Weban(ウェブアン)』は早くからありましたが、インターネットを使いこなせない中高年層をターゲットにした広告の需要が残っていると判断していたためです。弊誌Traveler's Supportasiaでも

「海外で生活する資金を日本で稼ごうという外こもりすとが帰国直後に、空港の書店や最寄の駅の売店、コンビニなどで買ったりもらったりするケースがあった」

とお伝えしたことがあります(前記事「交通量調査はタイミングと根気で入る」参照)

ですが、FromAが廃刊したのは「商業雑誌を買ってまでして」バイトを探す読者と、商業誌をわざわざ選んで出稿する企業の双方が減ったのが理由(前記事「FromA、次週で廃刊」参照)。版元的にも印刷や取次への配送といった手間がかかる上に「手に取らないと情報を得られない」紙媒体から「アクセスすれば広告を見てもらえるチャンスがある」Web・スマートフォンサイトへ移行させ、媒体としての魅力を高めたいという大義名分がありました。

首都圏では2013年11月に商業誌の発行を取りやめ、それまで木曜だったanエリアの発行日を月曜日に変更して一本化。そして、2015年9月14日発行号限りで近畿圏向けの5地域版のうち大阪府と兵庫県で配布していた2つが廃刊。さらに11月23日(月)発行号を最後に、首都圏向けanエリア全4版と北部九州向け商業誌の発行がなくなりました。これをもって日刊アルバイトニュース速報以来48年に渡った商業雑誌anの歴史は完全に終わったことになります。

なお、トヨタ自動車(愛知県豊田市、東証1部上場)や豊田自動織機(愛知県刈谷市、東証1部上場)など自動車関連産業の期間工や製造派遣などの募集広告が根強い中京圏と北部九州ではフリーペーパーの発行を当分の間継続するとしています。