2007年4月24日火曜日

カオサン住人、全財産失い自殺騒ぎ

 22日午後、バンコク首都圏ラチャテーウィ区ヨンマラートのラマ6世通り(マッサージパーラー「ボタン」のそば)に架かる歩道橋で、アジア系の男性が飛び降りるとわめき散らし、20分ほどで駆けつけたパヤタイ警察署の警官に制止されるという事件がありました。
 調べによりますと、男性は25歳の日本人バックパッカー。4月18日のエアインディア(AI)309便でスワンナプンマハナコン空港に到着後、カオサンに向かったといいますが、カオサンで昼食を共にしようと誘ってきた中国人詐欺師にひっかかり、パスポート、出国の航空券、現金とTC合わせて$3,500(約42万円)、クレジットカードといった全財産を盗まれてしまったとのこと。彼は被害届けを出そうと在バンコク日本大使館(パトゥムワン区ワイヤレス通り)まで歩いていこうとし、その途中、ヨンマラートの歩道橋で何を思ったのか発作的に自殺を考えた、と述べています。


 この男性にはかなり厳しい発言で申し訳ないのですが、Traveler's Supportasiaが前々から指摘していた「旅のリスク管理」が全くできていないカオサン在留歴の長い管理者ふくちゃんや副管理者fortunesawada程のレベルになれば、こんなもんかと割り切る、という考え方もありますが、そこまでに達するには徹底的なリスク管理を常に研究し実践する必要がある。それでどうしてもダメだったときに、初めて「割り切る」という考え方が出てくるのです。リスクの一つも管理できないなら詐欺師や窃盗団にカモられて当然一命を取られなかっただけ、まだマシと思わざるを得ないでしょう。Traveler's Supportasiaを愛読していただいている皆さんなら、まず起こし得ないアホな事件。日本の恥晒しもいいところです。

 カオサンや王宮前広場で親しげに声を掛けてくる詐欺師には以前から「十分注意してください」の安全情報が出っ放しな程危険です。しかも最近は、タイ人だけでなくフィリピンや中国など、周辺諸国からビザなしやビザオンアライバルで来て、詐欺を働こうというヤツが現れた。だからビザなし6ヶ月90日ルールができたり、正規ビザでの在留許可期間が短縮されたり(前記事「タイ正規ビザの扱い、変わる」参照)しました。移民庁やツーリストポリスといった旅行者保護機関ですら一目置くヤツらなんです。それなのにそういう連中にホイホイとついていくほうがおかしい。過去には1回の旅行で100万Bt.(当時のレートで300万円)失い、NHK「ニュース9」に取り上げられた大バカ野郎もいました。

 パスポートはまだしも、帰りの航空券やカード類も全部一緒くたにして歩いていたというのですから、呆れて物も言えません。帰りの航空券がeチケットなら券そのものは航空会社が管理していますから、eチケット領収書の再発行は無料で何度でもOKです。しかしエアインディアは紙の航空券ですから紛失すると再発行手数料2,000Bt.がかかり、最悪乗れない恐れもある。紙の航空券は無くすと乗れない、というリスクは事前に承知して然るべきです。

 さらに、盗難がわかったからといって、誰にも相談することなく日本大使館まで歩いていこうなんて、錯乱してるとしか思えません。パスポートを再発行するにしても、渡航書で帰るにしても、ツーリストポリスまたは首都圏警察発行の調書(ポリスレポート)が必要ですが、ツーリストポリスセンターのペブリタットマイ通りへの移転(前記事「ツーリストポリスセンター、移転」参照)に伴い、チャナソンクラン警察署(カオサン西端)で対応できるようになったのを知らなかったのでしょう。まずチャナソンクラン署に行って調書を作らないと埒が開かないのに、その前から日本大使館というのは初級者でもまず考えません。
 それならば、カオサントラベラーズロッジやママズ、ATといった日本人宿になんで相談に来ないんですか? 日本人宿で打ち明ければ大使館までの往復のバス代([47]14Bt.)くらいは出してくれる人がいるはず。バスで行っていれば、何もあんな場所で自殺を考えることもなく、冷静に対応できたのかもしれません。
 彼の場合、TCが1,000ドルほどあったのが救いですが、TCを換金するにはパスポートが絶対要ります。パスポート送金も紛失してしまっているのではできません(前記事「パスポート送金の方法」参照)。そういう時は、日本大使館に行く前に、当面の対応に必要な資金を確保する方法を考えないといけません。誰かが新生銀行、シティバンク銀行など海外でも引き出せるキャッシュカードを持っていれば、その人に振り込んでもらうことで確保できますが、カードを持っている人を探すにしても、まずは日本人宿に来ないといけないでしょう? それすらできなかったのはバックパッカーとして余りにも情けない。

 今回のような最悪の事例を、後々、皆さんご自身がリスクに立ち向かわれる時の参考にしてください。管理者ふくちゃん、副管理者fortunesawadaもリスク管理の研究を怠らないことをお約束します。